第9話
俺は自転車に乗って施設の外へ向かった。
しばらく走っていると、大きな木が生い茂っている並木道に出た。
バス停にベンチがあったので、そこに自転車を止めてベンチに座ってスマホを取り出した。アプリを開くと地図が出て、宝のありかが示されている。
俺の現在地点から一番近いところに狙いを定めて、その座標を頼りに行ってみる事にした。
これは、俺が今一番ハマっている世界規模の宝探しゲームだ。
世界中至る所に宝が隠されていて、アプリに出てくる座標を頼りに探し出す。
宝といっても、たいてい小さなプラスチックケースの中にミニカーやなんかのちょっとしたおもちゃと小さなノートが入っているだけだ。
そのおもちゃの宝は、同等の物と交換してもいい。
そしてそのノートには、その宝を発見した人の名前やメッセージなどが書かれている。
あらゆる世界の人の書いた物を見ると、このゲームの存在を知っている人間だけが繋がっているという優越感と親近感を感じる。
俺はどこかに出かける時は、いつ宝を発見してもいいように、自分の名前を書くためのペンと、次の人への小さなプレゼントを持ち歩いている。
この先をもう少し行くと城がある。
どうもそこに宝があるようだ。
俺は自転車を走らせた。
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