第10話



 物心付くころから俺は(宝探し)と聞くと、胸が弾む…というか、胸が痛む。


何故か胸の奥がギュッと掴まれるような感じがして鼓動が速くなる。


そして焦燥感を感じる。


何かしなきゃいけないんじゃないか?


でも何をするんだ?


何か、すごく大事な事があったような気が…。


そんな気持ちをずっと訳も分からなく持ち続けていた。


スマホを持つようになってこのゲームの存在を知って、胸の高鳴りが治まらなかった。


それ以来俺は休みの度に宝探しをするようになった。



 目的の座標が示す城門の前に自転車を止めて、その辺りを探ってみた。


門の裏の辺りが怪しい。


門の横の陰になっている石垣を探すとビンゴだった。


石垣と門の間のくぼみに宝箱を見つけた。


この県では初めての宝だ!


わくわくして中を開けると、小さな四葉のクローバーのキーホルダーが入っていた。


本物のクローバーがレジンの中に入っていて、光にかざすとキラキラしてキレイだ。


「これ、手作りかな…?」

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