第6話


「ま、いいんだ。もし亡くなってたとしても、思い出が身近に感じるような気がするからな。」


じーちゃんはニコニコしている。


ノンキなじーちゃんだ。父さんも俺もノンキなのは、じーちゃん由来だな。


「乃海、おまえに頼みがあるんだけど…。」


「何?」


「頼まれてくれるか?じーちゃんの人生最後の頼みじゃ!」


じーちゃんは目をうるうるさせて俺に迫っている。


「そ、そんな人生最後の頼みとか言われたらこえーよ!責任重大じゃん!そんな大事、俺に務まるの?」


じーちゃんはショボンとしている。


「じーちゃん、ショボンとすんなよ!わかったー。やるから!何なの?」


「乃海ならそう言ってくれると思ってた。」


じーちゃんはニッコーっと笑っている。


全くしょうがないじーさんだな。


じーちゃんは鞄から紙切れを取り出し俺に渡した。


(若松澄子)


紙切れにはそれだけ書かれていた。

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