エピローグ

「あんなことになるとはなあ……」


 写真部の部室に2人。


 衝撃的な挨拶だけをかまして帰っていった浦本うらもとを涙目で見送り、写真部の片付けを手伝っていた。


 最後の最後に新キャラがなんの伏線もなく出て来るなど、小説だったら、駄作もいいところである。こんなプロットを担当さんに出したらめちゃくちゃ怒られるだろうなあ……。続編の伏線じゃなかったら本当にまずい。


「はぁ……」


 落ち込んでいる小佐田をおれは横目で見る。


 小佐田からしたら壮大な計画が圧倒的な他者につぶされた形だもんなあ……。


「あのさ、小佐田」


「なぁに……?」


 おれは頬をかきながら、自分からこんなことを言ってしまっていいのだろうか、と考える。


「えっと……昔、小佐田の手紙にかかれていた『やりたいことリスト』、もうとっくにすっからかんなんだよ」


「……そっか」


「だから、その……」


 なんだこれ、ばかみてえだ。


「これからも、また、その、小佐田の意見というか……」


 先ほどの勢いはどこへやら、げないおれの手をきゅっと握って、小佐田は「えへへっ」と眩しく笑った。






「これからも幼馴染しようね、蓮くん!」

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