第四十五話:幼馴染にまつわるミステリー
「ね、
見上げてくる
少しだけおれの様子を見た後、「そっかそっか」と
「正解は、『
その回答に
「小佐田さん、念のため理由をお聞きしても良いですか? 違う理由で同じ答えが出たらそれこそ
「はい、分かりましたっ! えーっと……」
そう言ってから、小佐田はもう一度問題を読みあげた。
* * *
ここ、
なんと、あだ名を本名と別の名字でつけると言うのです!
「
「
それでは、「
* * *
「……つまり、『名字』を『同音異義語』に置き換え、それを『英訳』して『同音の名字』にする、ということですね!」
「そうですね!」
手を合わせて喜ぶ天野さんと
「口にするとなんかややこしいな……」
「やっぱりそう思うよね?」
脇ではおれと佐野さんが顔をしかめた。
「分かってるならいいじゃん、いじわるだなあ……! じゃあわかりやすく説明しますね!」
こほん、とわざとらしく咳払いをして、小佐田が説明を始める。
「つまり、『
「はい!」
「ですので、『
どやさ! とばかりに小佐田が胸を張ると、天野さんが拍手をする。
「大正解です! ほら、見ましたか、
そして今度は天野さんが胸を張り、それに対して佐野さんが苦笑した。
「うん、小佐田さんはご
「うっ、それはたしかに……」
佐野さんの指摘に対して、天野さんは案外素直にうなずいた。
「複数の正解が出てしまうのはやはり悪問と言わざるを得ないよ。高校生なら解けるレベルということは分かったけど」
「でもでも……! あ、須賀さんは、どう思われましたか? お分かりになりましたか?」
突然水を向けられて、おれは少しドキッとする。
「おれは……えっと、少なくとも、選択肢を提示した方が良いと思います。『①後藤』『②
「なるほど? 『藤』つながりで攻めていくってことですか?」
「いや、まあ、そこは揃える意味ないですけどね。今パッと例で思いついたので……」
自分でも何か変なことを言ってしまった気がして頭をかいた。
「選択肢も規則性あった方がわかりやすいですよっ!」
小佐田がフォローしてくれた。
「2人ともありがとう。まあ、ただ、いずれにせよ、英語の知識が必要だから小学生は分からないっていうのが問題なんだよなあ。
「嫌です! お子様コースは作りません!」
佐野さんの提案を
「佐野くんには分からないのです! 見た目で判断されてお子様コースを案内される高校生の気持ちが……! あんな悲しい思いを、私は誰にもさせたくありません!」
「さいですか……」
天野さんはその小柄さ
その視線をそのままおれの隣に立っている方の小柄な女子に向けると、「んー? どしたのー?」と間抜けな顔で訊いて来た。そのあどけない感じだと小佐田も間違えられそうだな……。
「とにかく、です!」
天野さんは少し大きな声で言ってパン、と手を叩いた。
「お
笑顔の天野さんはおれたちそれぞれに『りいうえお』と書かれたシールをくれる。
「いえ、わたしたちもとっても楽しかったです! 学園祭本番、楽しみにしてますねっ!」
「はい! クリアしたあかつきには、もう一枚プレゼントしますので、いらっしゃってください!」
ミス研の2人にお礼を言われながらラウンジを
「えへへー、このシールおそろいだねー須賀くん」
「土曜日には数十人単位でお
「そだねー」
おれの塩対応も気にせず、食べ途中だった揚げパンをもぐもぐタイムしはじめる。
「おいしいなあ、ひねった頭に、糖分が染み渡るようだよっ」
「そんなに頭使ってなさそうだったけどな」
「あっ! ねね、『
「すいと……? どういう字?」
「『
パンを持ってない方の手で、空気中に字を書きながら小佐田が教えてくれる。
「そんな珍しい名字、よく知ってんな」
「えへへ、すごい?」
「今回は本当にちょっと感心した……。おい、小佐田、口の周り真っ白だぞ」
小さい口で一生懸命
「あ、ほんと?」
おれの指摘を受けた小佐田は口の周りについた
「うへへ、やっぱりすっごくおいしい!」
と、にやけ笑った。
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