第六話:Hey, 幼馴染
「んで、
左では、カバンを肩にかけた
「どうやって
「いや、おれがっていうより、いきなり向こうから話しかけて来たんだよ」
「そんなわけないでしょう。蓮君は嘘だけはつかない子だと思ってたのに、私は悲しい……」
右では、凛子がカバンを両手で膝の下に
「嘘じゃないんだって、それが。2人の言いたいことは分からないではないけど」
結局、本当におれを待ってくれていた
武蔵野国際高校1年生『ツートップ』との
「嘘じゃねーなら、なんで、蓮なんかと?」
「なんかってお前……。いや、小佐田っておれらと同じ小学校なんだよ。2人が転校してくる前に転校してっちゃったから入れ違いなんだけど」
「あー、んなこと言ってたなー、高校の入学式の日」
「そうそう。それでおれも入学式以来話してなかったんだけど、小佐田が最近、幼馴染モノの少女マンガ? にハマってるらしくて、それで、幼馴染っていう存在に憧れてる? とかなんとか……」
うん、説明してるとちょっとおれも意味わかんなくなってくる。ていうか恥ずかしい。
「ねえ、その漫画って『もう
「ああー……あれか……」
凛子が言うと、梓がうげえ……といった感じで舌を出した。
「2人とも、読んだことあんのか?」
「まあ、女子の間ではかなり
「私も何回か
凛子もなぜか頬を引きつらせている。
「何、そんなに面白くないのか? 流行ってるのに?」
2人の表情のビミョーさに、そう
「うーん……面白くねーわけじゃねーんだけど……」
「そうねえ、なんと言いますか、幼馴染っていうと、私でいう蓮君だったりするわけじゃない……? それを想像すると、まあ、
そこで、タイプの違う2人は声を合わせて、
「「気持ち悪い……」」
と言った。
ああー……。
おれは頬をかく。なるほど。
「あ、別に蓮君が気持ち悪いとか、蓮君のことが嫌いってわけじゃないんだよ? そういうことじゃなくて、ただ単純に幼馴染ってちょっと恋愛対象としては見られないっていうか」
「そーなんだよなー。あたし、兄貴がいるから、兄貴に恋することになるマンガとかもマジでムリなんだけど、それとおんなじような感覚」
まあ、それはなんとなく分かる。
おれも妹いるから、妹モノのアニメを見たりするのはかなり抵抗があるものだ。
言葉を選ばずに言うと、
「つーか、それってさ。菜摘は蓮と付き合いたいってことか?」
「は? なんで?」
話が
「それが分からない人のことは、『
おう、
カッカッカ、と笑っていた梓が人差し指を空に向けて振りながら説明し始める。
「あのな、少女マンガを読んで、幼馴染に憧れるだろ?」
「もちろん、マンガの中では主人公の女の子は幼馴染に恋をしてるのよね?」
「んで、幼馴染としての関係を蓮に求めてる、と」
「それなら、行く末というか、ゴールは……ねえ?」
2人が交互に説明する。さすが幼馴染同士、息ぴったりだな……。
「んー、なんとなく、そういうんじゃないとは思うんだけどな……」
腕組みをして返した。
「ま、たしかに、あの小佐田菜摘が、蓮とじゃ釣り合わねーよなー」
「武蔵野国際高校1年生の『メインヒロイン』だものね」
ああ、そんな肩書きだったね……。本当に誰が考えてんだろうそういうの。各学年あるらしいけど。
「あたしも今度、菜摘とちゃんと
「そうね。そういうことなら、小佐田さんが蓮君にふさわしい女性か、私たちの目で確かめてあげないと」
ニカッと笑う活発系幼馴染と、不敵に笑うおしとやか系幼馴染。
「いや、さっき釣り合わないって……っていうか、おれのことは恋愛対象として見れないんじゃなかった?」
そうツッコミを入れると。
「「それとこれとは話が別」」
うわー、やっぱり息ぴったりだな……!
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