五、魔族少年と風の精霊
強い眠気のせいで夢と
重い
かすんだ視界に真っ先に見えたのは、鮮やかなピンク髪の男のコ。先のとがった耳は
一緒に歩いている小柄な女のコは、ロングストレートの
一生懸命しゃべってるのは男のコの方で、精霊の彼女はほんのり笑いながら聴いてるだけ。それでも仲良さそうで楽しそうで、羨ましいな、と思った。
と急に、離れたわたしにもわかるくらい彼女の獣耳がピンと張った。一瞬振り返り、男のコの腕を取って走りだす。
賑やかな足音を引き連れて、誰かが追いかけてくる。わたしの目の前を通り抜けざま店の明かりで見えたのは、制服姿の警備兵たち。
わたしはただ
犯罪者なのか、もっと複雑なワケアリかはわからないけど。振り返って走りだした二人の
きっと彼らは自由に生きて、自分たちの意志で逃げてるに違いなくて。
わたしは、どうしたいんだろう。
足元にぱっくり口を開いて待ちうける逃れようのない
だけどこの記憶が……わたしという存在が、ここで確かに生きてたという事実が、誰の中にも残らないなんて悲しすぎる。
逃げきれなくても、いい。
閉じた世界で終わりに怯えながら命を
死ぬまで、逃げてみたかったの。
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