第38話闘技祭開催
グランドワイズの闘技祭、第一戦目。
騎士団の各部隊はそれぞれ特色がある。
・第一部隊
バランス型だが、元々武に長けた連中ではなく腕に覚えのある者が集まった自警団の様な感覚。
・第二部隊
近接よりも魔法が得意な部隊。
・第三部隊
ロービンなどがいる部隊で、近接を得意とする。
・第四部隊
近接や魔法はそこそこで、隠密・罠などを仕掛けるのが得意。
・第五部隊
ハンターで言えば黒級・銀級レベルが数名在籍しており、その多くが元ハンターだったりもする。
その為、他部隊よりも武に長け、戦いが得意な者の集まり。
そしてこれから始まるのは第二部隊VS第四部隊、簡単に言えば魔法部隊VS隠密だ。
闘技城内はそれぞれの陣地があり、周辺には森や建物が造られている。
各部隊が陣地へ到着後、10分間の準備期間を設けて闘技開始。
既に双方の部隊が陣地へ到着し、恐らく作戦を立ててるだろう。
俺とミコトは闘技場の関係者関に座り、試合を観戦する。
ただ、近くには各国の来賓が居てミューロン国王ダリウムやクラリア、ブルードマンが何故だかニヤニヤこちらを見ている。
更に、ダルージャ時期国王のドラージャは意味深な視線を送って来ている。
当事者ではないが、俺の存在に気付いているのだろうか……
まあ、どちらにしても厄介ごとは避けたいな。
「セン、そろそろ始まるぞ!」
「ああ、こういうの見るのは初めてだな。
ちょっと楽しみだ」
「おお! センにもこうした楽しみがあるのは安心した!
てっきり全く興味がなく、ムスっとしてるだけなのかと思ったぞ」
いやいや、お前は俺を何だと思ってるんだ。
人間が嫌いというか、接するのが面倒なだけで祭事は嫌いじゃないぞ?
〝それでは、これより闘技祭第一試合! グランドワイズ第二部隊ファブニール対第四部隊フェンニールの拠点取りを始めます。
なお、戦闘時の魔法が観客席に放たれてしまう可能性も御座いますので、ご注意下さい〟
おいおい、そこは誰かがそうならないようにしろよ。
そう思ったのだが、寧ろそれも闘技祭の醍醐味らしく、「いいぞぉぉ!さっさと始めろぉぉ!!」っと観客のテンションが最高潮になっていた。
〝では、試合開始!!〟
ゴーンっと大鐘が叩かれ、闘技祭開始の合図が響き渡った。
闘技場の配置は下記となる。
┌───────────────────┐
│ 森 森 森 森 |
│ 中 |
│拠 砦 央 砦 拠|
│点 砦 広 砦 点|
│ 間 |
│ 森 森 森 森 |
└───────────────────┘
「先ずは一勝!」
「「おおっ!!」」
第二部隊隊長、フードを被り髭を蓄えた如何にも魔法使いらしいゲイル・グロールが気合を入れ、部下達がそれに応える。
「トラップは仕掛け終わった。 各自魔法攻撃に注意しつつ数名は裏を突け!」
「「はっ」」
第四部隊隊長、ゴーグルを掛け黒髪オールバックの小柄な男、シュレイ・デパトーレ
最初に動いたのは第四部隊。
三名が闘技場脇から木々を伝って隠密行動に出た。
第二部隊は10名を護りに置き、三・三・四の編成で左右に展開して慎重に前進している。
そして、攻撃を開始したのは第二部隊。
「「「―満ちたるは命より息吹く魔の根源、我が灼熱の闘志の顕現を以て敵を焼き払え! ≪フレイムフォール≫!!」」」
ボワっと闘技場の中心地に炎の壁が出現し、周囲の木々も焼き払っていく。
「敵影確認、北東!」
第二部隊が恐らく第三部隊の隠密を発見した様だ。
「―満ちたるは命より息吹く魔の根源、我が眼前たる敵へ雷の刃を放て!
≪サンダーランス≫!!」
第二部隊の一人が魔法を放ち、雷の槍が隠密の部隊を襲う。
「ふっ、甘いな」
ズゴォォン!
雷の刃が敵を捕らえ、大きな爆発が起こった。
しかし――
「何っ!?」
「ガラ空きだ」
敵影は陽動だったのか、いつの間にか魔法を放った騎士の背後に第四部隊の騎士が立っていた。
「ぐわっ!」
「まずは一人だ」
バタっと騎士の一人が落ちる。
闘技祭故に殺しはしないが、気絶された騎士は黒子の様な者達がささっと場外へ運んでいく。
「怯むな! 広域魔法を展開! 巻き添えを喰らわないように注意しろ!」
「―満ちたるは命より息吹く魔の根源、全てを討ち払う水の矢と成りて降り注げ!
≪アロウズレイン≫!!」
ザーっと周囲に数多の水矢が降り注ぎ、隠れていたとしても流石に防ぎようがないだろう。
「ぎゃあ」
「しまった!?」
第二部隊の広域魔法によって隠密行動をしていた第四部隊の騎士達が魔法の餌食となっていく。
・
・
・
その後、両者共譲らぬ戦いぶりを見せるが第二部隊が残り五人になり、守りに徹するのを止めて一気に攻め込んだ。
だが、拠点を目の前にしてトラップの餌食となり、最終的には隠密行動をしていた第四部隊によって拠点を落とされてしまった。
〝勝者、第四部隊フェンニール!!〟
「「うぉぉぉぉ!!」」
闘技場に訪れていた観客のボルテージが一気に上がった。
また、来賓の者達も拍手をして勝者を称える。
「さて、次は第一と第三か。 どうなる事やら」
「まあ問題ないだろう。 何せ私とセンが鍛えたのだからな!」
ミコトは自慢気に言い放ち、自信に満ちている。
闘技場は魔法などで壊れた個所を修復し、20分後に開始となる。
〝続きまして、第二試合!
第一部隊フェルニール対第三部隊スレイプニール!〟
各部隊が拠点へ向かい、作戦を立てる。
「さて、これまでの私達第一部隊はバランス型だった。
だが、それらも全て底上げされたと言えるだろう。
そして、その実力を他の部隊は知らん!
ならば見せつけてやろう! 我等フェルニールの恐ろしさを!!」
「「「おおっ!!」」」
第一部隊隊長セリアの言葉に部下達全員が気合を入れ、武器を取った。
二週間前とは比べものにならない程に自信に満ちた表情だ。
「第一部隊、所詮は自警団の延長。
実力の差を知らしめてやろう。
全員倒すまで拠点は取るな?
徹底的に行くぞ!!」
「「おおぉ!!」」
金髪ツンツンヘアーで髭を生やした大柄な男、第三部隊隊長ゴールドン・ディーダが号令を掛け、部下達が気合を入れる。
「ロービン、行けるな?
舐められっぱなしで終わるんじゃねぇぞ?」
「当然だ! 俺の実力を知らしめ、英雄になってやるぞ!!」
ロービンは第三部隊では思いの外信頼されており、その実力も買われている。
だからこそ、隊長のゴールドンもセンに受けた屈辱を遠目から見ており、やられたらやり返せと告げたのだった。
そして、各部隊が準備を終えると試合開始の大鐘が鳴り響いた。
〝試合、始め!!!〟
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