準備完了
心のケアを中心に取り扱ってる記事をスマホで見ながら、釣り竿を握る事4時間。
ポセイドンからちょくちょくメールが来るようになったけど返信出来ないのが辛い。
メールの内容は、女の子の現状を伝えて来るのばっかり。
ポムは今朝からポセイドンのメールに書いてた女の子の詳細を元に、服とか生活雑貨を揃えてくれてる。
ロナルディは作った公園の地面に芝生を全面に貼って遊具を設置してくれてるし、リスティールさんは動物をデフォルメして可愛くした小さい人形と、デカいモコフワな白いイルカのヌイグルミを作成中。
そして釣りをしてる今日の俺は超真剣。
政島と小政島を繋いでる橋の上から甘鯛を釣りまくってる。
「うし! 12匹目フィーーーシュ!」
やっぱりイージーモード。こんなに簡単に釣れるのは嬉しい反面少し寂しくもある。
「魚との知恵比べも釣りの醍醐味なんだけどな」
釣った傍から神経〆して、買い取りアプリを起動して売却、全部ポムのスマホで。
日本側の買い取り価格が毎日の様に下落中……
「日本あっちで何かあったのかな?」
ニュースとか見れないんだよな。
と言うか、俺が地獄こっちに来た日から後の番組やネットニュースは全部見れない。
それでも今は日本の事を考えてるよりか、釣りながら、最初に食べさせる料理を何にするかを考えないとなんだよ。
実を言うと、ポムにもロナルディにもリスティールさんにも、連れて来る女の子の写真は見せてないんだ。
3人とも、見たらビビるだろうな……
「ちくしょう……! 釣りまくってやる」
昼飯はポムが作ってくれるって言ってたし、今日は料理の試作を始めるまで、ひたすら釣るぞ。
ポムが昼飯持って来てくれたんだけど、ロナルディもリスティールさんも一緒に来た。
「爆釣、お昼ご飯は皆で食べよ。それと子供ならお菓子が要る!」
「滑り台とブランコの設置は終わりました。芝生もふかふかですよ」
「後で爆釣さんの故郷の玩具も選びましょう」
3人とも気合い十分だな。
「色々とお菓子のレシピも検索してみたんですけど、爆釣さんの故郷のお菓子のレシピは凄いですね」
リスティールさんが、なんか少し興奮気味。
「私達の故郷じゃ、お菓子って料理人の経験と勘でね、レシピがあっても師匠から弟子に受け継がれるだけなんだよ」
うわ……マジか。
「少し前までお菓子を食べられたのは富裕層だけでしたからね。今では安価なお菓子が出回っていますが」
ふむふむ……
「安価なお菓子ってどんなの?」
「焼き菓子が殆どですね。ほんのり甘いクッキー等が人気です」
クッキーか……作った事無いな……
「分量や焼き加減が細かく書いてあるレシピを見つけましたから、私でも数回チャレンジしたら作れないでしょうか?」
「私も一緒に作ってみたいかも」
んじゃ今日の試作はお菓子に……
「作ってみるか。せっかくオーブンもあるんだし」
3人のスマホで見れるレシピと俺のスマホで見れるレシピの違いを気にしつつ、俺のスマホを大きくして、お菓子作り。重さの単位とかが違うんだ。
「クッキーだけじゃなくて、ホットケーキとか作ってみようぜ。バターとハチミツたっぷり掛けたやつさ」
ホットケーキなら何回も作った事があるし、あれなら失敗しても多少焦げるだからな。
「ホットケーキならベリー系の果物が欲しいですね」
「私食べた事無いや。ホットケーキって美味しい?」
「ポムさん。ホットケーキは美味しいですよ。口の中が幸せになる事間違い無しです」
今日の所はホットケーキミックスを買って、クッキーの生地を寝かせてる間にホットケーキを焼いてみた。
「ベリーを乗せなくても美味しいですね」
いい物食ってそうなロナルディが、2枚目を食べ始めて言った事に……
「ほのまみゃでもおいふぃいよ」
口の中をいっぱいにしたままポムが答えて……
「……………………」
リスティールさんは無言で3枚目を咀嚼中……
「ホットケーキに夢中になり過ぎだろ……」
女性2人が……やっぱり甘い物好きなんだな。
「試しに桃ジュースも作ってみて合わせて飲んでみるか?」
3人とも首を縦にブンブン振ってら。
結局、ホットケーキミックスは常備するってなって、メープルシロップとハチミツもそこそこの量を購入。
「ガンガンポイントが減って行く……」
う〜ん……育児ってお金がかかる。兄ちゃんの小遣いが月2万円なのも頷けるや。
「あっ!? やっちまった!」
確定ガチャを回す分のポイントが……微妙に足りてない。
時計を見たらまだ5時……
「もう一度海に行ってくる。クッキーは任せた」
3人にオーブンの見張りは任せた。と言っても、時間になったら止まるんだけどな。
足りないポイントを今日のうち用意するのに、買い取り時間に間に合わせようと思ったら……
「牡蠣フライ……良いかも」そんな事を考えながらトコブシと牡蠣を獲ってる。
トコブシと牡蠣をバケツいっぱいにして買い取りアプリを起動。
「うし! なんとか10万ポイントは確保だな」
俺のスマホで日本側に売却したから、安かったけどノルマ達成。
タオルを忘れたせいで、濡れたまま服を着てびちょびちょになりながら、とりあえず風呂に向かおうと歩いてて、ふと思い出した。
「風呂の移動もしないと。て言うか、家の近くに作るなら壁も用意しないと窓から見えたら……」
ロナルディが入ってる所を見ても問題無いだろうけど、リスティールさんやポムが入ってる所を見てしまったら……
「ポムの爪とリスティールさんの腕力は……怖いな」
家の近くに作るか……そんな事を考えながら歩いてたら……
「そっか! 風呂に入るのって夕方だよな……それなら……」
今だとだいたい夕方に風呂に入ってる。
男湯と女湯に分けて真ん中に仕切りを付けて、リスティールさんに頼んで柱と屋根の骨組みを作って貰って……
ロナルディに屋根を植物で覆って貰ったら……
「うん! いいかもしれん」
コンテナハウスに戻って来たら、何故か大き目のバスケットいっぱいになってるクッキーと大量に皿に盛られたホットケーキが……
「ナニコレ? オレハユメデモミテルノデショウカ?」
理解出来なくてカタコトになってしまった……
リスティールさんが焼き立てクッキーを素手でバスケットにポイポイしてて、ロナルディはひたすら生地を練ってる……
ポムはホットケーキをガンガン焼きまくってるし……
「爆釣、褒めて! 私凄い事に気付いちゃった」
すっげー笑顔でポムが褒めてって……
「どうしたんだよ?」
「ぐふふっ……インベントリに入れてある物を棚の中にしまったら、インベントリが空くでしょ」
容量が少ないって言ってたっけ……
「空いたインベントリに焼き立てのクッキーとホットケーキを入れといたら、出せば何時でも熱々が食べられるのだ!」
まあ、そうだろうけど……
「でもさ、子供って、お手伝いしながらお菓子作りとかしてみたいと思うんだよな。俺もそうだったし」
お菓子と言うか、俺は刺身だったけどな。
「なっ……それは盲点でした……」
「普通の人はそんな事を考えるのですか……」
リスティールさんって火傷しないんだろうか?
ロナルディは自分の常識に無い事だったんだろうな。
ポムは俺の意見を聞いてワナワナしてら……
「作ったクッキーやホットケーキは、お子様ランチのデザートにしようぜ。毎回クッキーとホットケーキとなんかもう1つデザート添えてさ」
「うん! そうする」
結局4人ともホットケーキとクッキーを食いまくって腹いっぱいになってたから、夜飯は軽く済ませた。
その後に、さっき思い付いた事を3人に話したら、今すぐ行動ってなって、夜中までかかって風呂が完成。
あとは……ポセイドンの連絡待ち。
早く明日になんねえかな。
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