大人用お子様ランチ
ポセイドンが帰って来なくなって1週間、4人で色々と準備をしてるんだけど、それがどんどん間違った方向に進んでる気がするんだ。
だって……育児の本って言われたらひ〇こクラブくらいしか思い出せなくて、スマホで探した古本を見付けて買ってみたけど……
「あんまり役に立ってない気がする……」
どう考えても6歳に対応してなくて、仕方ないから買い取りアプリで売却。15ポイントで買って5ポイント返ってきた。
「子供でも食べやすい魚料理とレタスをふんだんに使ったお子様ランチ計画書? 何コレ?」
「とりあえず計画を立ててみようって思って書いてみたんだよ……まだ完成して無いんだから見るなよ」
ポムは混ぜ込みワカメシリーズに絶対的な自信を持ってて、わかめスープにレタスを浮かべるレシピを考案中。
俺達が朝飯に食うならそれでも普通に美味いよ。
「苦味をもっとどうにかしたいんだよ。火を通してしんなりしたレタスも美味いけど、大人と子供の味覚は違うだろ?」
リスティールさんはちゃんこ鍋を推してくる。
確かに、鍋なら好きな物を食べれば良いんだし、それは間違いじゃないと思うけど、鍋にレタスは違うと思うんだ。
「ロナの考えた桃ジュースが1番じゃない?」
「たぶん、あれが1番良いと思うけど……」
リスティールさんが持ってた桃の種を植えて、ロナルディが成長させた桃の木。
昨日初めて実を付けて、もぎ取って実食してみたけど、アレは美味かった。
「レタスと桃と牛乳をミキサーでゴーってやるだけだもんな……」
ロナルディとリスティールさんの提案で、ミキサーに掛けてジュースにしてみたけど、さっぱりしてて、ほんのり甘くて、美味かったんだ。
「ヴォブの身でレタスを挟んで衣を付けたフライ、甘い厚焼き玉子と辛くない大根おろし、レタスを小さく刻んで混ぜ込んだハンバーグ、刻んだレタスとシーチキンのチャーハン」
「とりあえずそこまでは考えたんだ。でもデザートが……それに甘鯛の白身フライを追加するかも……」
「作って食べてみよう」だってさ。
今回の事で食材を保存するのに業務用の冷凍庫を買った。大人だけなら、その日に得た食材だけで料理しても大丈夫だけど、子供だと苦手な食べ物だってあるだろうし。
その中に、ここ数日釣った魚や温めるだけにしたおにぎりとか、色々突っ込んであるけど、ボブの在庫が無いから4人でボブ釣りして来た。
「やべえ。ボブ成長し過ぎ……」
釣れたのは8匹で全部大人のボブ、手足の生えてる奴な。
「ロナとリスティの作った野菜とか果物とかも売れるし、収入はバッチリだね」
リスティールさんの作った果樹園やロナルディの畑に実った作物も食べ頃を迎えて、食べ切れない分を査定したら、そこそこいい値段になった。
「ロナルディとリスティールさんの分のスマホも買わないと。ちゃんと収入は分けようぜ」
2人ともポイントは要らないって言うけど、それは違うと思うんだよ。
「働いた対価はちゃんと貰わないと。自活して行くなら大事だぞ収入って」
ポムのスマホを使って、通販アプリでスマホを探して、ロナルディは青、リスティールさんはピンクゴールドのスマホを選んだ。中身はポムのスマホと同じ仕様なんだと。
1台25000ポイント……ボブの売り上げで余裕で買えた。
値段的にはそんなに高くないスマホだけど、機能的には俺のよりハイスペックなんだと。
ボブ釣りの後にロナルディとリスティールさんが芝生を植えて公園を作ってて、ポムは設置する遊具を選んでる。
「おーい。レタス挟み揚げ出来たから試食してくれー」
3人を大声で呼んで試食会の始まり。
「とりあえずコレをメインにして大丈夫かな?」
3人が険しい顔をしながら口に運んだんだけど、咀嚼したら笑顔になった。
「普通に美味しい」「これはいい物ですね」
「爆釣さん。ビールを頂いても良いでしょうか?」
俺も1口食べてみたけどこりゃビールだわ。
「いかん。食べるのに集中したら作りたく無くなる」
「ロナ、パインとキィウイ貰っていい?」
「勿論です。美味しそうなの選んで採ってきましょうか?」
「私はお酒の準備をしますね」
俺はもう一度キッチンに行こ。
とりあえずワンプーレトに盛り付けしたら、お子様ランチっぽくなるだろ? なんて思って、作った料理を全部同じ皿に乗せてみた……
「なんか違う気がする……」
どう見てもオードブルのちっちゃい版……
「あっ! 皿をアニメの絵皿にすりゃ良いのか」
子供がどんなアニメを見てるか知らないから、スマホで検索して、とりあえずメロンパンな女の子の絵皿と猫型ロボットの絵皿を買ってみた。
「う〜ん……料理の配置と彩りが……」
見た目がほぼ茶色なんだよ……フライとハンバーグとチャーハンが……
「ケチャップライスにすっかな……」
チャーハンを作り直すか、赤いスパゲッティを乗せるかで迷ったんだけど、赤を入れるならタコさんウインナーにしようってピンと来て、作り直し中。
「爆釣……作り直すなら、失敗作食べていい?」
ポムが熟れたキィウイとパイナップルを持っ来てくれたんだけど、そんな事言うから時計を見たら6時。
「ごめん、作るのに集中しすぎた。そっちのテーブルに置いてあるのは持って行って良いから、先に食べといて」
盛り付けた後になんか違うと思った失敗作が既に7皿……作り過ぎた。
「何回作っても大人用のお子様ランチになるんだよな……もうちょっと考えるからさ」
「了解。あんまり無理しちゃダメだよ」
無理はしてないと思うぞ。
最後の1皿を用意し終わって、作ったお子様ランチをボーっと眺めてたら、1つ気付いた。
旗が無い、だから……
ノートと爪楊枝で急遽白い旗を作ってチャーハンに刺してみたら……
「なるほどな! 旗を付けたらお子様ランチっぽくなるわ。これは盲点!」
前になんかで読んだ事があるや。旗の種類を沢山用意して、旗を集められるようにしてみよっかな。
「どうしたの? 急に叫んで」
「わりぃわりぃ。ちょっとだけ大切な事に気付いてさ。コレ持ってそっち行くよ」
味見ばっかりしてたから、あんまり腹も減ってないや……
部屋に入ってみたら、ロナルディが1つ1つの料理に評価点を付けてて、リスティールさんが、お子様ランチプレートに置く玩具のサイズを悩んでて、ポムはポムでデカいベッドを組み立て中……
「なんだこれ? 何してんだよ?」
「爆釣さん。お肉のハンバーグはもう少し薄味にしてソースで味の調整をしましょう。それとですね……」
ロナルディが1つ1つ料理にダメ出ししてくる……有難いけど…………
「このプレートに乗せてもはみ出さないサイズで女の子が喜びそうな物と言われたら、小さい人形が良いと思うのですが、どう思いますか?」
それで良いと思うよリスティールさん。
「寝る場所は私と爆釣と一緒で良いよね?」
1人で寝かせる訳にはいかんだろ……
なんて言うか……………………カオス。
4人で、あーでもない、こーでもない言いながら、部屋を模様替えしてみたり、リスティールさんが作る人形の元ネタを探したり、ロナルディが喜びそうな果物を選んだり……ポムが……
「服!? 着る物も用意しなくちゃ。歯ブラシも、子供用の歯磨き粉も」
「あ〜。生活用品も揃えないとなのか。明日は朝からガッツリ釣りして少しポイントに余裕持たせときたいな」
そんな話をしてたらポセイドンからメールが来て……
「明後日くらいに連れて来るだって、服なんかはポセイドンも用意したってよ」
さすがだなポセイドン。
「こっちでも色々と準備はしておきましょう」
「食べ物だけじゃ無くて、遊ぶとことかも早く作らないといけませんね」
「爆釣、お風呂も近くに作り直さ無いと、今の距離だと湯冷めしちゃうよ」
早いとこ準備を終わらせないとな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます