第三五一食 JK組とコンビニ弁当①
★
三月上旬から始まる
ほとんどの部活動や委員会も試験休みに入り、いよいよ
ただし高等部ではなかなか例がないこととはいえ、一応学年末考査の結果次第では原級留置処置――いわゆる
「というわけで始まりました、毎度恒例〝チキチキ! 定期テストを乗り越えろ、勉強会inまひる家〟~っ! いえーい、どんどんぱふぱふーっ!」
「「「……」」」
元気よく宣言した眼鏡少女こと
「さあ、あんたたち! 今日は全力で頑張るわよ! なんたって学生の本分は勉強なんだからね!」
「ゆ、雪穂ちゃん、まだお昼前だからってあんまり騒いだらご近所迷惑になっちゃうから……!」
「というかなんなのよ、
「あれじゃなーい? 雪穂はその気になれば留年も出来る成績だから焦ってるんでしょー?」
「ブッブー、違いますう~っ! 今の私はとぉー……ってもっ! 勉強がしたい気分なんですぅ~っ!」
机の前に座っている
「なになにー? もしかして誰かと
「違うわよ! そんなしょうもない動機ごときでこの私が勉強するようになると思う!? いいや、ならない!」
「い、言い切っちゃうんだ……?」
「たとえ動機がなくても勉強はしなきゃ駄目でしょ……
「ひよりにしては察しがいいじゃない! その通り!」
すると雪穂はいかにも
「いい? よく聞きなさい。今私たちは高校一年生、
「う、うん、まあそうだね」
「私たちが大学に入る時って、ちょうどおにーさんたちは大学卒業して就職しちゃうんだもんねー。……って、どしたのひよりーん? なんか死んだ魚みたいな目してるけどー?」
「いや……なんかもう話の先が見えちゃって、ね……」
既に呆れモード全開のひよりを
「でも私は蒼生さんと大学でキャッキャウフフしてみたいのよ! 大学って学年に関係なく受けられる授業もあるんでしょ!? ということはつまり、蒼生さんと並んで勉強したりも出来ちゃうってことじゃん!」
「お、お兄さんは『まともに単位取ってれば四回生は一般講義に出る必要はなくなる』って言ってたけど……」
「そもそも雪穂、さっき自分で言ってたじゃんかー。私たちとおにーさんたちって
「もちろん分かってるわ。……あくまでも普通に進級すれば、ね?」
ニヤリと笑みを浮かべる雪穂、彼女の言わんとしていることを察してハッとする真昼と亜紀、そして
「そう! たとえばもしこの先蒼生さんが留年した場合、私たちの年齢差は実質三年まで短縮されるのよ! つまり一年間、同じ
「え、ええ……?」
「なにそのエグい計画ー……自分のために蒼生さんの人生めちゃくちゃにするつもりー?」
「早とちりするんじゃないわよ、これは単なる一例。もちろん留年なんてしない方がいいに決まってるし、蒼生さんと一緒にキャンパスライフを送る方法は他にもあるんだから」
「他にも……?」
「
「私が〝飛び級〟すればいいのよ」
「「ええ……」」
留年以上にあり得ないことを平然と言ってのけた眼鏡少女に、真昼と亜紀は揃ってドン引きする。どうやら雪穂が「勉強をしたい気分」と発言したことからこの流れを予見し、真面目に聞くことをやめたひよりの判断は正しかったらしい。
だが場の空気に気付かない雪穂は、グッと両拳を握り締めてやる気も十分に言う。
「私がこれから一生懸命勉強すれば、きっと飛び級だってさせてもらえるわ! さあ、そうと決まれば勉強するわよあんたたち!」
「いや、日本で飛び級とかムリでしょー……」
「あ、あはは……雪穂ちゃんが勉強に前向きになれるならそれでいい、のかな……?」
――それから
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