第二八〇食 旭日真昼とクリームパスタ①
★
「頑張るぞー、絶対お兄さんに『美味しい』って言ってもらうんだからね……!」
台所に移動した
「(うー、でもやっぱり緊張しちゃうなあ。私の部屋にお兄さんが居るの、なんかすっごく変な感じ……)」
少女はごくりと喉を鳴らしつつ、隣室で料理の完成を待ってくれているであろう青年の姿をドア越しに見た。念願叶って恋仲となった彼を勢いそのまま自室へ招待したまでは良かったのだが、いざこうして一人になってみると急激に恥ずかしさというか、照れくささのようなものが込み上げてくる。
「(な、なにか変なものとか置いたりしてないよね、大丈夫だよね? ……うん、大丈夫。というかさっきの下着よりも見られて恥ずかしいものなんて私の部屋にないし!)」
先刻の自爆を思い出すことで逆に
「よしっ、さっさと作っちゃおう、お昼ごはんっ!」
改めて気合いを入れ直すと、少女は昼食の調理へ取りかかる。本日のメニューはまだ一度も青年に食べてもらったことのない隠し玉〝きのことほうれん草のクリームパスタ〟だ。
まず最初に袋から取り出したほうれん草の根元を包丁で切り落としてから土汚れを落とし、たっぷりと湯を
そしてもう一度鍋で湯を沸かしている間に、次はシメジとエリンギの下処理だ。それぞれ
「(
「(もうこれだけでも美味しそう……ってだめだめ、つまみ食いなんてはしたないっ)」
そうこうしている間にパスタが茹で上がったので、後は完成したクリームと混ぜ合わせれば完成だ。綺麗に皿へ盛り付けたいところだが、残念ながらそんな技術は持ち合わせていないため、仕上げに乾燥パセリと黒胡椒を散らすことでなんとなく
……なお、別の皿に薄切りバゲットを乗せたのは見映えが半分、パスタだけでは足りないであろう
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