第二七九食 彼女の部屋とご招待③
★
「――それじゃあお兄さん、私はお昼ごはん作ってきますから完成するまでの間、そこで
「なんでだよッ!? 自爆したからって腹いせに八つ当たりしてくるんじゃないよ!」
「だ、だからなにも見てないって何度も言ってるだろ?」
「嘘ですッ!? お兄さん、絶対見ましたよね!? 『見てない』とか言いながら、本当はばっちり見たんですよね、私のぱ――し、下着っ!」
「み、見えなかったって!? ほ、ほらちょうどここからだと逆光になってて……それにすぐ目も逸らしたし!」
「……じゃあ、何色と何色と何色でした?」
「え? 水色と
「やっぱり見てるじゃないですかっ!? 私、お兄さんの嘘なんてすぐ見抜けるんですからね!? しし、しかも色とか柄までしっかり覚えてるなんて……お兄さんのえっち! ヘンタイッ!?」
「おいやめろ、この状況でそれ言われるとマジで警察沙汰になりかねないッ!? わ、分かった、謝る! なんで俺が謝らなきゃいけないのかまったく
完全に不可抗力によるものではあったとはいえ、〝下着を見られた女子高生〟と戦って勝てるはずもない。
「……わ、私の方こそごめんなさい。どう考えてもお兄さんは悪くなかったですよね」
「え、あ、おうん……」
急に謝り返され、
「よーっし! こういう時は美味しいものを食べて忘れちゃうのが一番ですよねっ!」
俺がしょうもない思考を
もう随分と
「私、腕によりをかけて美味しいものを作りますからね! お兄さんはそこでのんびり待っててくださいっ!」
「お、おう、ありがとう……」
「……く、くれぐれも、またカーテンを開けたりしちゃダメですからね?」
「し、しねえよっ! 俺ってそんなことする奴だと思われてんの!?」
恋人の目を盗んでコソコソカーテンを
「(しっかし、これがあの真昼の部屋ねえ……)」
無作法だとは思いつつ、俺は改めてキョロキョロと室内を見回してみた。もはやあの汚なかった部屋の
ふと学習机の上に備え付けられている本立てに目を向けると、そこには雑誌や書籍の背表紙がずらりと並んでいた。かつて二人で目を通した覚えのあるレシピ集を始め、整理整頓の手引き書から掃除・手入れに関するハウツー本に至るまで、実に多様なラインナップだ。それら全てに熟読された
「(……本当に頑張り屋だな、君は)」
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