第二二三食 旭日真昼とプレゼント①
★
「うぅぅむぅぅ……」
吐き出す息もすっかり白くなった一二月のある日。
「……さっきからなにウンウン唸ってるのよ、
「あ、ひよりちゃん」
さりげなく話をするチャンスだろうかとソワソワしている男子たちをギロッと視線で
「それ、なにかの雑誌?」
「うん。今朝
「おっ? まひる、それ漫画? 私にも貸してよ」
「あ」
真昼とひよりが机の上に広げられていた一冊の雑誌について話をしていたところで、それが横合いからさっと引き抜かれた。
犯人は友人の眼鏡少女こと
「なにこれ、漫画じゃなくてファッション誌じゃん。はー、つまんねー……」
「許可なく横取りしといてなに文句言ってんのよ、あんたは」
「あぐぇっ!?」
バサッと
「
「い、言われてないよっ! お兄さんがそんなこと言うわけないでしょ!?」
「冗談だって。そうだよね、あの人そういうこと言わなそうだし――」
「お兄さんの場合、私が頑張ってお
「そっち!? あ、あんた、相変わらずイマイチ
「ふっ。あの鈍感さを〝味がある〟と思えるくらいにならないと、お兄さんを落とすことなんて
「分かんないし、なんであんたがちょっと得意げなのかも分かんない」
冬服で
「〝気になるカレに贈るクリスマスプレゼント特集〟……? ああそっか、もうそんな時期か」
「うん、早いよねえ。去年はみんなでクリスマス会したけど、あれももう一年前になっちゃうんだ」
亜紀の家ですき焼きパーティーをしたことを思い出し、真昼が懐かしむように瞳を細めた。「
「……で、あんたにはもう家森さんがいるから、今年は私たちなんかとパーティーをするつもりはない、と」
「そっ、そんなことないよ!? ほ、ほら、クリスマスって二日あるんだし、本番の一日さえ
「知らないわよ」
わたわたと慌てる親友に
「ふーん……要するに、家森さんへのクリスマスプレゼントで悩んでたんだ?」
「あ、うん。でもあんまり『コレ!』っていうのが見つからなくって……ねえひよりちゃん、お兄さんはなにを貰ったら一番喜ぶと思う?」
「なんで私に聞くのよ……あんたに分かんないなら私に分かるわけないでしょ」
「だ、だってぇ……お兄さんって趣味とかないし、服とか小物の好みも私とは全然違うみたいだし……」
「あんたの
少女の
「お兄さん、なにか欲しいものとかないのかなあ」
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