第2幕 敗者
うむ。ではよく聞け。
我々イノシシシ族は、この星で知性を持つ、数少ない種の一つである。
知性だけではない。
牙を持ち、体表を覆う固い毛を持ち、特に固い鼻を武器にする確かな脚力がある。森ではおよそ敵など居なかった。
感じとる限り、この星では我々種族の固体数はかなりな数になるはず。
だがそれは、太古の昔、ヒトト族に捕まった同胞が、戦いの機会も与えられず牙も抜かれた。今ではヒトトに保護されながら数を増やしている。
死ぬまで食べる事への心配なく暮らし、奴らに喰われていく。生き方はそれぞれだ。ただ、牙を抜かれても、知性は失ってはいかん。
とはいえだ、一方の我ら森に住む者は減った。どちらが良いのかは分からん。しかし私は死ぬときは戦って死にたい。
死に方もそれぞれだ。
私は一族の未来の為に命を燃やし尽くし死んで生きたい。
ヒトトのもとで暮らす同胞が満足していれば良いのだがね。
私たちは数を増やしたが、はたしてそれは、この星にとって必要なのか。
今はまだ何とも言えんよ。
・・・ああ、達者でな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます