面倒なお客とクオーツの過去
どれだけ村で秘密にしたとしても、行商人が居る限りアルメリアの事はいつか漏れると村のみんなは思っていた。
「貴様がアルか、俺様は伯爵家の長子ヌッケサック・アイーダ様だ!
大人しく魔剣を差し出せ、そうすれば魔剣を使った後は腕を切り落とすだけで済ませてやる」
金髪のソバカスの目立つ18〜20くらいのいかにも貴族と言った風な青い服を着た青年が護衛の騎士2人を連れて店に入って来るなり偉そうにふんぞり帰りアルメリアに命令を下してきた。
「え?普通に嫌ですけど?
それに魔剣なんて作って無いですし」
アルメリアの返事に即座に顔を赤くしたヌッケサックはアルメリアを指差して
「伯爵家を舐めるなよ!お前なんてすぐ殺せるんだそ!
大人しく魔剣を出せ!!!!!!」
金切り声で叫ぶヌッケサックを呆れ顔で見て、ため息をつきながら、どうしようかな?っと思案してると。
「威勢の良い事を言ってるじゃ無いか?
この村には魔剣なんて存在しやしないんだよ、わかったらさっさと出ておいき」
クオーツが普段見せないような人を殺せそうな凶悪な顔をして店の入り口に立っていた。
「ふん、見せしめにお前から死ぬか!?あぁん」
クオーツははぁっとため息をつくと、拳を握り一歩前に出た。
それに合わせて護衛の騎士もヌッケサックの前に出て威嚇するように腰の剣に手をかけた。
「ほぉん?なるほど
お前達が相手ってわけか?
なぁプルート」
「貴様!プルート様を呼び捨てにするなど」
もう1人の騎士が剣を抜いて斬りかかるが、クオーツは素早く身をかわしそのまま騎士の腕を肘からへし折ると痛みで止まった騎士の頭を蹴り付けたまま地面にスタンプした。
「なぁ?プルート?それともプルモレが良いかい?」
「なぁ!う、クオーツ様?まさかあの方はもはや皺枯れたババァのはず、孫か?」
「そんなのお前の身体で思い出しな
それにババァだと?
良い度胸だ」
一瞬クオーツの身体がブレたと思った瞬間クオーツはプルートの、身体に密着しており、次の瞬間綺麗に鎧を真っ二つにし、飛び退いたと思った時には、血塗れで地面に倒れたプルートが居た。
「なんだい、まったく
鎧は命を守る大切な物なのに手入れもして無いじゃないか。
おかげで力加減間違っちまったよ」
そう言って髪をかき上げる横顔に最初に倒された騎士が目をむいて
「鍛治騎士様……」
震えながら呟いた
「で?アイーダんとこの抜け作はまだやんのかい?」
「き、き、き、き、さま
貴族に手を挙げてただで済むとは思ってないよな?」
「ふーん、良い教育してんなあのガキ」
どこかほっとしたような顔になった次の瞬間、ヌッケサックは宙を舞った。
「生憎と貴族さまに対する礼儀なんぞテメェの親父んとこに置いてきてんだよ」
成り行きを茫然と見ていたアルメリアに気がつくとクオーツはにぱっと笑って手を振ってきた。
「さて、このゴミはうちで引き取るけど良いかな?」
「え?ええ、どうぞ」
「ありがとう」
そう言って2人の足を持っ引きずり出て行く間際
「おい、騎士Aクオーツの名前を出してジジイとクソガキにとっとと来ないとこいつらを解体しちまうぞって伝えておいで」
そう伝えると騎士は慌てて
「だ、誰に伝えるんだよ、ジジイとか、クソガキって?」
「前の伯爵のイマノとメイロに決まってんだろう」
「ぶ、前伯爵様と伯爵様にか?無理だ、あんたの名前を出しても動きはしないだろうよ」
その言葉を聞いて獰猛な笑みを浮かべると
「来なきゃあ、あたしから押しかけてやるよ、死にたければ来ないだろうね」
あまりの凶悪な笑顔に騎士は引きつりつつ「わ、わかったから若には手を出すなよ!
言ったからな、絶対だぞ」と、そう言い残して去って行った。
この出来事以外は村は取り止めもなく平穏だった。
短いですが、キリが良いので前編と後半に分けます
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