幕間2
恐慌を起こした国民達が国境の門を潜ろうとした途端見えない壁に弾き返され、森を越えようとした者達は煉獄の森の上級モンスターに襲われた。
王城内では、家臣団がボンクラーを責め今後の行動を話し合う会議が行われていた。
「陛下、このボンクラーは広場に晒し民による石打ちの刑にするべきです」
「さよう、タベズも同じ処置をと思うが殺してはならんと神々のお言葉がある。
地下牢に繋ぎ死なぬていどの食料を与えておくしかあるまい」
大臣達の言葉に顔を赤くし震えるボンクラーを無視して話が進んでいくが、もともと堪え性の無いボンクラーが我慢できるはずも無かった。
「貴様ら!俺は王子であり、この国の支配者だ!なのに俺を石打などと!不敬だ!」
「では、王子としてこの度の責任をどう取られるおつもりか!」
「俺は王子だぞ!責任なぞとるか!
どうにかしたければあのクソ女を呼び戻し牢にでも繋いでおけ!」
「国の外に出れない状態では煉獄の森になど入れるわけがないでしょう!」
「何より神々を愚弄した事も罪深いのに、王子という責任ある立場に据えておく事がおかしいのだよ
これは対応が遅い王も問題ですぞ!」
「確かに余にも責任があるな、ならばこそボンクラーは王族席を剥奪し放逐にする
これでどうだろうか?」
あまりの王の甘い処罰に重臣や家臣達からも呆れ声や嘲の視線が向けられた。
「な!父上俺を市民と同じ扱いにすると!」
「いや、出来る限り支援してやる
だから安心しなさい」
「バカか!もはや王失格だ!
このバカを育てた時点で失格だが、何を甘い事を言うか!
皆王がご乱心だ、東の塔にてご養生願い、政治は我らが行おう」
「まて!待ってくれ、王子に煉獄の森まで兵をつけてアルメリアを向かいにいかせよう
まだ二日目だ、単機の馬であれば追い付けよう
もしそれが失敗なら余もボンクラーも大人しく隠棲しよう」
「何を甘い事をもししくじった時は広場で石打の刑に処す、それでいいですな!」
「なぜ石打に拘る?
我ら王族に恨みでもあるのか?!」
全家臣達は呆れた顔をしてボンクラーを見ると
「前々から申し上げていたが、そこの王子様(笑)は神子であるアルメリア様を蔑ろにしすぎていたのだ、何より王がそれを後押ししこのような暴挙まで許したのだ!
あまつさえ、国民にそのような認識を与えたのは間違いなく王族だろう!」
「さよう、神々の加護を失いあまつさえ土地の祝福も失い民まで神々に、見放されたのだぞ!
その罪は甘くはないわ!」
「だから、タベズが神の祝福の名を継げば全てがうまく行くはずだったのに
大人しく俺の言う事を聞いておけばいいものを思いやがりやがって!」
ボンクラーが口を開くと家臣団が一斉に睨みつけ
「これだからバカは困る神々の加護と恩恵を受けて我らは存在してるのだ、何より祝福の神子のお力で国が潤うと言うのに」
こんなやりとりが長々と続き、翌朝ボンクラーは数人の元騎士を引き連れて煉獄の森へ向かう街道を出発したのだった。
しかし、苦難はすでにやってきていた。
「なんだこれは!」
ボンクラー一行の前に黒い木々の森が街道に出現していた
焦れたボンクラーが馬を進めようとするが馬は逆に後ろに下がって行く。
「もうよい!」
ボンクラーは馬を降りて森の茂みに足を踏み入れた途端ブーツに火が付きあっという間に燃え広がった。
「ぎゃあぁぁあぁ」
ボンクラーはあまりの熱さに転がり周り、暫くするとどうにか火も消えふらふらと立ち上がると元騎士達を睨みつけた。
「王国の至宝たる俺が危険な目に遭っているのに何を見てる!助けろ!このクズが!」
「あーあれは煉獄の森の代名詞のイグニッションツリーとアグニートグラスですわー
あ、紅蓮の森って意味知ってます?」
馬の上から見下したように話す元騎士に苛立ちながら
「知ってるわ!魔物が偉そうにモンスターと呼ばれる森のことだろうが!」
「はぁあんたバカですか?
そもそも煉獄の森の理由は入り口からこのイグニッションツリーやアグニートグラスが出迎えあの木々が乱立する森の中で暮らせるS級モンスターが普通に暮らしてる森の事ですよ」
「つまり、職業も無い我等ではどうしようもないと言う事ですよ」
そう言われて愕然とした顔で森と元騎士の顔の間を行ったり来たり何度もさせると
「何故職業も無いものが俺の共なのだ!
騎士やパラディンを呼んでこい!
全く俺をなんだと思っているのだ!」
「そりゃあ無理ってもんですよ
俺は元ですがパラディンだし、こいつらは騎士でしたよ」
「あんたがバカな事をしでかして、この国中の人間が職を失ってますがね」
そう言われて初めてボンクラーは思い出したような顔をして自分のステータスを見た。
ボンクラー 男?
称号:災いを振りまきし役立たず
職業:無し
力:1
魔力:1
知力:1
素早さ:1
運:−♾
呪い:死ぬ事が許されぬ身体
不幸を振りまく体質
「な!」
ボンクラーが思わず声を上げてしまい偶然に普通は見えないステータスが見えてしまい元騎士達はドン引きし、そろそろと後ろに下がって行く。
「あんたのお守りで巻き添えなんてゴメンだから俺達は帰るよ」
そう言って後ろにさらに下がって行く。
「な!やめろ!誰が俺を守るんだ!
今のステータスだと子供にも勝てないんだぞ!」
「自業自得だろう」
そう言って元騎士達はボンクラーを置いて去っていってしまった。
ボンクラーの未来はいかに?
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