14:選択
「むつきー これから何処に行くの?」
「ショッピングモール・・・って言ってもわからないか。 まあ行ってからのお楽しみだな」
胸ポケットに小さくなった美少女を入れながら俺はショッピングモールに向かう。カーベラの服だの何だの買うには一番いいだろう。
カーベラと雑談をしながらバスに乗っているとショッピングモールについた。俺自身ショッピングモールに行く機会があまりなかったので知らなかったが意外と家から近かったようだ。
「着いたぞ」
「っわー ひろーい!」
このショッピングモールはショッピングモールの中でも広い方だということで、俺もその大きさに少し驚いている。
「じゃあまずは服から買いに行くぞ」
そういいながら女性服が売られている店に向かう。そして店についたときに大きな問題を見つけた。
「超・・・恥ずかしいんだけど」
大きいショッピングモールの女性向けの服が売っている店に男子高校生が一人でいる。しかも周りは女性かカップルがほぼだ。
カーベラはいるが、周りからは見られないようにしている。
これは何とも絶妙に嫌な場面だ。
さっさと買ってしまおう。と思ったが、正直何を変えばいいのかがわからない。
「カーベラ、どんな服がいい?」
「うーん むつきに任せるよ」
それは一番困る返答だな。
俺は女性に服なんて選んだことがないからなぁ。彩芽に電話してみるか。
携帯をズボンのポケットから出し、電話をかけ・・・
「ダメ」
携帯をいじっていたら胸ポケットからカーベラが腕をのばし、俺の袖を引っ張っていた。
「むつきに選んでほしいって言ったじゃん。」
マジかよ。ここで美少女発動されると何もいえない。
「はぁー わかったよ。 本当に俺が選んだのでいいんだな? 俺こういうの苦手だし後悔するかもしれないぞ」
「それでいいの 大丈夫」
うーん妹に頼れなくなってしまった以上、他に頼れるのは・・・
「じゃあ私は何買うか見ないで待ってるね」
そう言ってカーベラは服の中に消えた。
俺はカーベラの反応を見て買おうかとも考えていたのにこの手も使えなくなってしまった。本当に俺のファッションセンスだけに頼ることになった。
カーベラに似合う服か・・・正直アイツは多分この世界でも相当トップクラスの容姿を持っているから何でも似合うのではないかと思ってしまう。
となると・・・カーベラの特徴に合う物を選ぶ必要がある。
黒髪、紅目・・・ 正直黒髪に黒い服が合うのか白い服が合うのかもよくわからない。ここから先は俺の好みになるな。
もう何がいいのかわからない。とりあえず似合いそうなのを買ってしまおう。
俺は一応少し考えた上で服と取ってレジに並ぶ。
「お会計は1万2500円です」
少し値段に驚いたが、まあこういうところで服を買うとそのくらい値段はするのだろう。とりあえず(渋々)お金を払った。
「連れが着て帰りたいらしんですけど、いいですか?」
「えぇいいですよ。じゃあタグだけ取ってお渡ししますね」
買った服を受け取り試着室に行く。一つ空いていたので中に服を置き、カーベラを呼ぶ。
「カーベラ、服買ったぞ」
ひょこっとカーベラが顔を出した。
「何買ったの?」
「まあ試着室の中に置いといたから着て出てこい。」
小型化しているカーベラが見られないように、試着室の中に入れて元の大きさに戻るようにいう。
なんか緊張して来た。
カーベラが来ている間ものすごくソワソワしながら外で待つ。
「・・・むつき どう?」
カーベラが出て来た。
サイズは・・・ちょうどよかったみたいだ。
白いラフなトップスに薄い感じの緩いジーンズ。そして赤いカーディガンだ。
ワンピースみたいな女性用丸出しな服を買うのにはいささか恥ずかしさが勝ってしまったが、ジーンズなど女性用だが買ったことのあるものにはまだ抵抗が少なかった。
しょうがないだろう俺は恋愛経験なんてない男子高校生なんだから。
だが、正直に言ってムッチャ似合っている・・・と思う。特に黒い髪と紅い目が白いトップスと赤いカーディガンによく合う。
日頃から服に気にしているような人種ではないので自分で選んだというのが先走っているだけかもしれないが。
「・・・私は結構気に入ってるんだけど、どう?」
「いや・・・その、俺も自分が選んだことにビックリしてる。似合ってる・・・と思う。」
何だか急に恥ずかしくなってしまい、口元がおぼつかない。
似合っていると感想を述べると、カーベラは顔を晴れさせこっちを向いて来た。
「ありがとう! 私この服お気に入りにするね」
そう言って元の大きさに戻ったカーベラと一緒にショッピングモールをまた歩き出した。
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