10:日常の終わり、日常の始まり
朝、時間は午前8時もうすぐ学校に登校する時間だ。
高校生が家を出る時間の平均がどこくらいかは知らないが、俺は学校が近く、チャリ通なため、遅い方だと認識している。
ここで、俺は現状、一番大きな問題を再認識させられる。それは、そう―
「カーベラ、俺が学校行っている間、ずっと部屋にいるのか?」
そう、俺が家に不在中のカーベラの過ごし方である。とりあえず、奇抜な格好をしたままのコイツを外には出せない。そして、妹にバレるわけにもいかない。
「そうね。あなたにも学生としての生活があるものね。すぐに異世界に行けるとかじゃないから、当分は何も構わず通えるし、私も止める権利はないもの」
「そうなんだよ。意外と頭いいところだからさぁ、休んでるのは休んでるので大変だから、できるだけ通っときたいんだよ」
俺とカーベラはしばし沈黙する。
この沈黙の中先に口を開いたのは・・・カーベラだった。
「付いていくってのはどう?」
「ダメだろ」
どうやら付いていくということに少しばかり期待していたらしく、あっさりと否定され悲しんでいる様子だ。
「じゃーしょうがないから残るしかないわね」
「悪いがそうなるな」
「一人でどこか行くのも難しいし・・・」
格好が奇抜だから、外に出せないというのは一つの問題だが、そもそもカーベラは一人でこの世界を歩けるほどまだ慣れていない。そのため必然的に家に残ることになってしまう。
カーベラには悪いが、もうそろそろ家を出なければならない。
「じゃあ、行ってくる」
「行ってらしゃーい」
カーベラに見送られながら、自室を出る。
何だか、新米夫婦見たいでどこかむず痒い。でも悪い気分ではないと思っている自分がある。お調子者のカーベラだが、外見だけ見れば美少女そのものだ。
そんなことを考えながら、妹と炊事に来てくれた祖母に「行って来ます」と声をかけ、俺は家を出る。
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