第5話 火蓋
不本意ながら昨日黒星スタートになってしまったことで、俺はずっと冷や汗が止まらなかった。間違ってもあと二回あの鶴に負けてしまったら俺は……
いや、ダメだ。何弱気になってるんだ、しっかりしろ俺!大丈夫だ。そんな呆気なく終わるわけない、そう確かフィックスとか言ったっけ。絶体絶命のピンチに陥ったとしてもそんな呆気なく終わるわけない。そうだ、いざとなったら作者が何とかしてくれるはずだ、うん問題ない。
國春「ックション!……?」
「今日はちょうどここに碁盤あるし囲碁やろー!」
囲碁とはまた随分と渋いゲームだなぁ……っていやちょっと待て。そんなことより
「囲碁なんてやったことないから、ルールとか全く分からないんだけど」
「え?出来ないの?じゃあ、あたしの不戦勝ってことで……」
え?は?はぁ??!いや、ちょ
「ちょっっっっと待てえええええええ!!!!」
だめだだめだだめだだめだだめだだめだ
「それだけはだ、ダメだ!」
「え~……もうしょうがないなぁ、ルール教えてあげるよ。……特別だからね?」
「はっ、はひぃ!」
何だはひぃって。自分でもよく分からない声が出てしまった。極度の緊張とは恐ろしい。
國春「とかいってるけど本当はこの鶴ちゃんのこと好きなんじゃ……」
うるさいっ!!そんなわけあるかっ!!
國春「本当かな~~~~?」
うるさいうるさいうるさい!!!だいたいさっきから何の権限があって……
國春「作者権限ですけど、何か」
……そうでした
「それじゃ、説明するね。囲碁っていうのは簡単に言えば陣取りゲームだよ。この線と線の交わってるところに交互に石を置いて自分の陣地を決定していくの。でね、相手の石を自分の石で完全に囲うことが出来たら、相手の石を取ることができるの。基本的にはこのゲームはどこに石を置いても自由なんだけど、その囲って石を取られたところには置けないから気を付けてね!あ、ちなみに最後は目算って言ってどっちの陣地が多いか数える作業があるんだけど……私が作ったこの全自動碁盤は目算まで全部やってくれるんだよ!」
そういうの作れるんだ、すごいな。
「よし!じゃあ始めよう!」
こうして負けられない戦いが、今始まった。(厳密に言えば既に始まってるけど)
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