第1章 王立魔法学園
第1話入寮ー友達
青空の綺麗な、ある晴れた日。
黒髪のおかっぱに、麻呂眉と呼ばれる眉の少女は、若草色のワンピースに身を包み荷物の持ち手を握りしめ、
「ついに…ついに…王都に来たぁぁぁ!!」
と小声で叫んだ。
しかしガッツポーズは隠さない。
少女、フラが今いるのは、王都中央区にある【王立魔法学園】の門の前。
フラの他にも、如何にも貴族といったような少年少女や、肩身の狭そうな平民、よりは裕福そうな子たちがゾロゾロと門の中へと入っていく。
今日、
入学は15歳からであり5年間の在学、単位の取得で卒業ができる。15になったフラも試験を受け、入学資格を取得した。
王立魔法学園。そこは、リスデル王国で一番大きな魔法専門校。
王族貴族、平民などの身分関係無く入学権利が得られることで有名だ。
リスデル王国は平民の学校と貴族の学校を別々にするのが主流であり、同じ敷地内であっても校舎は分かれるのが普通だ。しかし、この王立魔法学園は校舎すらも分けておらず、全員同じ校舎で学ぶこととなっている。
まぁ、流石に寮は位別にしているが。
それでも、実力次第では平民でも貴族同等の部屋や設備が与えられる。
それは言い換えれば貴族でも平民のレベルに落とされることになるため、皆死に物狂いで勉強しているらしい…と言うのが噂の一つ。
「…まぁ、私は5年間平民クラスだろうけどね」
肩にかけているカバンを後ろにずらし、いつもより早めのスピードで歩き始める。
フラの魔法学園での生活が始まろうとしていた。
___☆♧☆___
王立魔法学園の寮は、王族の住む【
フラは当然【草塔】であり、本人は「草の塔で草の色のワンピース…」とぼやいていた。
寮の違いとしては、【月塔】、【光塔】は1人部屋であり、【草塔】は2人、もしくは4人一部屋の相部屋になっている。
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「相部屋さん、どんな子だろうなぁ…2人部屋、だよね?」
寮母さんに渡された紙と、赤いメダルが持ち手の部分についている鍵を手に、部屋の番号を探す。
「お、あった。鍵は…うん。問題なし」
ガチャ、と扉を開ける。
部屋に入ると、まず右手にあるのが洗面台。少し奥行きがあって、足場のスペースもある。
左手はすぐ壁で、下の棚は靴箱。扉から入ってすぐには段差があって、ここで靴を履き替えるんだろうな。
「スリッパは新品よっ」
シュパー!と言う効果音を頭の中で鳴らしながら、ワンピースと同じ色のスリッパをカバンから取り出す。
靴を脱ぎ、しまおうとして屈むと、靴箱に既に一組靴が入っていることに気がつく。
薄紫の可愛い靴だ。
「相部屋さんは可愛い趣味ですなぁ」
どんな子だろう、と再び考えながら、スリッパを履いて、ノックをしてからもう一つの扉を開ける。
「あ、」
「お?」
部屋はベッドが二つ、机が二つ。棚とランプが二つ。まるで鏡合わせの部屋だった。
まだも二つ、ベッドの頭の上にある。
ベッドの横に棚とランプ。下の方に机。
そして部屋の中央になかなか高価な紫色のワンピースを着た茶髪の女の子がいた。
「あ、は、は、はじめましてっ、私、リラ・ティリカって言うの。よ、よろしく、ね」
リラ・ティリカちゃんか。
商家の子だな。ティリカ商会。美味しい保存食で有名どころだ。
「はじめまして!私はフラって言います!よろしくね。リラちゃんって呼んでも平気かな?」
「う、うん!わ、私も、フラちゃんって呼んでもいい?」
「もちろん!」
初めての友達。少し気弱だけれど優しい子。
これからの入学式、不安だけれど楽しみだ!
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