選択


「ふう・・・最後に一回は乗っておかなくちゃね。結局・・・パークの職員は島を出ることになりました。短い間でしたけど、私はこの島で出会えた沢山の奇跡に・・・感謝しています。きっとまた・・・。ラッキー、留守をよろしくね」


「マカセテ」


「ごめんね、すぐ戻るから」


ラッキービーストと一人のヒトが観覧車の中でそんなやりとりをしている隣に・・・私は立つ。


彼女が起点。全ての物語の始まり。

繋ぐ存在を、我々の群れを作る始まりのヒト。


全ての命達の出会いの象徴。


彼女の姿に、かばんの姿が重なって見える。

そして・・・博士の姿も。


人もけものも、出会い、巡る。

繰り返した命の旅で沢山の悲しみを知った、乗り越えていく強さがあることも知った。


そして、それを描くことができるヒトの存在を知った。


かつてかばんだったというヒトの少女が劇場で教えてくれたこと。

”私”というヒトにとって最後のこの世界でフレンズのみんなが教えてくれたこと。


楽しい物語も、悲しい物語も・・・そのどちらにも幸せがあって、きっと意味がある。

でも・・・だからこそ、今の私が選べばそのどちらにも意味は生まれるだろう。

今度こそ、自分の幸せの為だけに選ぶのではないから。


今度こそ、あなたの隣にいる為に選ぶのだから。



さあ、選ぼう。助手だったものの責任として。

『君の笑顔が好きだったから』

そんなささやかな思いから始まったこの物語の、起点となった私の最後の役目として。


ヒトの形を持ったフレンズ達の、幸せも悲しみもが当たり前にある、命が巡る物語に還るのか。


それとも、”私”もフレンズとして・・・この世界で生きるか。



さあ、今こそ私はヒトとして選ぼう。





――――――――――



・どちらかを選んで次の章へ進んでください。

もちろん、あなたはヒトなので片方の結末を読み終えた後、別の可能性を読み直すことができます。ただし、あなたの最初の選択は人生で一度きりの選択です。



『帽子を飛ばす』   →このまま「第十章 いつか」を読み進めてください。


『何もせずに降りる』 →目次に戻り「第十一章 当たり前の」に進んでください。


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