夢の翼、二人の翼、みんなの翼




「さあ、どんどん行くわよ!!」


軽快なステップで先を歩くプリンセスの後ろをマーゲイが歩く。


「そんなに急いだら危ないですよ」


「大丈夫よ、つまずいたりしないわ!アイドルですもの」


「アイドルでも転ぶ時は転ぶものです、怪我でもされたら大変なんですから」


「ふふっ、マネージャーは厳しいわね」


「プリンセスさんは大事なアイドルですからね」


「頼りにしてるわよ、マネージャー!・・・いえ、もうむしろあなたもアイドル目指していいんじゃないかしら」


「えええ、私がアイドル・・・、私は裏方でいいんですけど・・・」


「どっちにしても末長ーくついてきてもらうわよっ!」


「はいっ、ペパプの為なら・・・どこまでだってついていきますよ!」


光のカーテンが広がる道を二人がくるくると踊る様に歩いていく。

ステージの上にはそれを見送る光達の姿があった。


『なあ、あいつら本当に大丈夫なのかよー?』


『もう心配ないだろう、・・・乗り越えることができたんだ』


『二人共・・・トップアイドル目指して頑張ってくださいね』


『またみんなで一緒に歌おうね~』



もう、遠くなったステージをプリンセスが振り返る。


「プリンセスさん・・・?」


「・・・ううん、ちょっと・・・みんなの声が聞こえたような気がしただけ」


胸に手を当てると、あたたかかった。

だってみんなはここにいるから、みんなの夢がここにあるから。


プリンセスがマーゲイの手をとって小さく駆けだす。


「私、もう逃げないから大丈夫よ!」


笑顔で前を向くプリンセスの横顔に、マーゲイも体が軽くなった気がした。

振り返ると、背中を抱かれるような不思議な温かさを感じる。


これはきっと、私達の翼。

二人がこれから未来へ羽ばたく為に、みんなの思いで作られた夢の翼。


「私、何度だって夢を追えるんだから!どこまでも一緒よ、マーゲイ!」


「はいっ!」


いつか憧れた彼女の隣に立ち、今は共に翼を広げている。

手を引かれ駆けるマーゲイの足は小さくステップを踏んでいた。



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