第3話 思わぬ救世主

–ったく、なんなんだ?あいつは

今日庭で昼寝をしていた俺に話しかけてきたうえに、俺に可愛いと言ってきた野郎『一条 怜』一条は、学園の中で人気者で優しく、かっこよくてスポーツ万能、それに頭もいいと学園の中で噂にのって俺のところまで知れ渡っている。俺が最も嫌う教師からも厚い信頼を置かれているらしい。

「ったく、うぜぇやつだ」

なんなんだ?大概のやつは、俺のことを見ると逃げるか青ざめるのに、あいつはニコニコして微笑んでそのくせ俺に『可愛い』と言ってきた。あいつ、一条のことが頭から離れない。

そう、考え事をしていると....


「お前が、黒雅だな?」


背後からそう声をかけられ、後ろを向くと

いかにも不良っぽい同じぐらいの歳の集団だった。


「そうだけど?俺になんかようでもあんのか?」


聞くと、リーダー格らしいやつが


「お前に俺の大事な弟分が昨日世話になったそうだなぁ、今回はその件についての、挨拶だ」


あぁ、昨日のあいつか


昨日、俺が夜の街中を歩いてたら、酔っ払ってるのか知らないが絡んで来たから俺がボコったやつか。


「昨日はあいつから俺に殴りかかってきたんだ。俺に非はねぇ」


「なんだと?お前のいうことなんか信じられるか、弟分はいきなりお前に殴りかかられたといってるがぁ?言い訳もほどほどにしろよな」


「言い訳じゃねぇ、俺は急いでるんだ。邪魔だ。」


「邪魔とは威勢がいいなぁ、少しかつを入れないとなぁ、さぁて、お前は1人か。

一人で俺たちに勝てるのか?こっちは20人いるけどよぉ」


20人、やばいな。一人で20人は流石に油断できない。でも俺は今、寝不足で体力もない。勝てるのか?

そう思考を考えることにだけ集中している俺はまんまと普段なら余裕で勝てるべき相手に腹に蹴りを入れられてしまった。


クソッ、強いとは言えないが体格が大きい分、蹴りの威力が強い。どうするッどうする?

俺が必死に考えている間も容赦なく攻撃が放たれた。


俺は普段なら余裕で勝てるやつにここまでボコボコにされている。


「なんだ、そんなに強くもないじゃないか,このまま,病院送りにしてやろうか?」


やばい、このままだと本当に病院送りにされる。いよいよ本気でやばいと思い始めたとき


「ねぇ、君達。その子を僕にくれない?」


ん?なんか聞いたことあるぞ、この声

あっ、一条じゃねぇか。しかしなに言ってんだ?一条は、


「はぁ?渡せるわけねぇだろ?今こいつに借りを返してるんだ。じゃまだ」


「んー、んじゃあ力尽くで」

クスりと笑った一条はスタスタリーダー格の男に近づき、なんと、凄まじい速さで思いっきり腹に拳を打ち込んだ。

その一発でそいつは気を失って倒れてしまった。

うそ..だろ?あいつが?一瞬で..相手を気絶させた?あの一条が?

混乱していた俺だが蹴られたところに激痛がはしり、意識を保つことができずに視界が真っ白になった。







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