第16話 生徒会

 そして数日後、呆気あっけない事で真実が判明した。


 あるクラスの化学の授業。

 化学担当の教師中津は、手の離せない仕事が出来たということで自習がてら、実験の様子を映したDVDを見るように日直当番の生徒に指示し、自分の机から白いディスクを手渡した。


 それを渡された生徒は教室のプレーヤーにDVDを挿入した。しばらくしてから教室の中から女子生徒達の悲鳴が響き渡った。


「先生!やめて!いや!」教室の中をスピーカーから響き渡る女子生徒の悲痛な声。

 始まったのは、教師中津が女子生徒を凌辱する多数の動画だった。

 

 後で聞いた話によると、この中津という教師は、女子生徒を物色しては、自分の気に入った女子に乱暴をはたらき、その事実を公表しないように脅迫していたそうだ。

 襲われた女子生徒の中には、耐えきれずに転校していった者もいるとのこと。

 言われてみれば、転校早々に女子生徒の体育の様子を撮影している様子も異質ではあった。


 その映像の中には、綾の姿もあったそうだ。


 綾は放課後、生活指導を名目に教室への残留を命じられたそうだ。


 そして、中津の餌食になりそうになり身の危険を感じた綾は抵抗し、中津に乱暴される前に、教室の窓から身を投げた。

 その一部始終が映像で残されていたそうであった。

 桜の花の花びらが散らばる校庭に、綾はその身を散らした。

 ほぼ、彼女は即死で苦しみは無かったと聞いた。


 被害生徒は多数に及び、後日、中津は警察に逮捕されて裁判の結果、実刑を求刑された。

 


 生徒会長の蛍池だが、彼に対する噂の数々は全くのデタラメであった。

 彼は、根っから筋の通った真面目な男だった。


 ただ、生徒会室に出入りしている、キノコ頭の庄内の行動には前々から疑念を抱いていたようで、今回、花園などを使って生徒達に危害を加えていた事が判明し、庄内は、生徒会から除名された。そして学校も自主的に退学した。


 ちなみに、生徒会室で暴れた俺にも罰として2週間の自宅謹慎が命じられた。

 ただ、これも蛍池が便宜を図ってくれたそうで、特別に寛大な処分が下ったということだ。

 普通であれば、退学は間違いなかっただろうと教師に言われた。


 謹慎が開けた後、蛍池から話があり、綾が生徒会室へ出入りしていたのは、蛍池が生徒会役へ綾が立候補するように、説得していたと聞いた。

 蛍池は、綾に風紀委員をやって欲しかったそうだ。

 

 蛍池は、綾に勧めていた生徒会役への立候補を俺にも勧めてきた。

 特に断る理由もなく、彼の申し出を受けて、風紀委員として、学生生活を過ごす事となった。


 俺が生徒会の委員に加わることで、逆瀬川文は歓喜の声を上げていた。

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