163. 共に戦う仲間を集めてください
コレットさんを膝の上に抱えて、僕は改めて知識神ラムダ様とのチャネリングを再開した。
すみません、今お時間大丈夫でしょうか。
〈はい、どうぞ。早速話の続きですが、何故貴方なら魔王と戦えるかという所でしたね〉
ですです。
何かこう、勇者の血筋とか、秘められた力的な物があるんでしょうか。
〈そういった物は特に無いですね〉
ですよね。
ラムダ様の曰く、僕が魔王に対抗できる可能性、それは耐性スキルによるものらしい。
あの炎の壁は魔王の権能で、炎熱/神聖/邪法の3属性を持っている。
確か【炎熱耐性:超級】を持った人があの炎に巻き込まれて死んだ、とかいう話を何処かで聞いた気がするんだけど、僕は炎熱と邪法なら100%の耐性を持っている。後は神聖耐性を上げれば、炎の中に突っ込んでも無傷でいられるんだとか。
〈とはいえ、基礎ステータスが神と人ではまるで違いますからね。
貴方の攻撃は掠り傷にもなりませんし、多少傷がついても自然治癒の範囲で再生します〉
僕は目を閉じたまま、無言でコレットさんの顎周りの毛繕いをした。
〈耐性だけ上がってもお互いに攻撃が通らず、その間に世界は滅ぼされて、地上に貴方以外は誰もいなくなることでしょう。勿論、少し待てばリポップはしますが〉
〈そうですね。ですので、やはり再封印は必要ですし、そのためには魔王を抑え込むだけの力は別途必要となります〉
と言いますと、伝説の武器的なやつでしょうか。
〈古い貴族の家には、合成を繰り返してスキルの強化された武器が受け継がれていることもありますが……それよりも、共に戦う仲間を集めてください。
奇しくも今は、スキルの力を積み重ねた者が意外と多いのです〉
スキルの力を、積み重ねた者?
〈まずは貴方。
そして、貴方と一緒にこの世界に転移した山本〉
ああ、そういう話ですか。
でもそれなら、危機感知スキルで【爆死】を抜いたガチャを毎日引いてる山本さんの方が、僕より遥かに強くなってますよね。
僕はガチャで毎日
〈それが、彼女は相変わらず耐性スキルを全然取らないんですよ。
一度感知抵抗を受けてで危機に陥った以降は、抵抗されても問題ないように、危機感知スキルを更に伸ばしてますね〉
え。ガチャで取るとか取らないとかできるんです?
〈貴方も薄々気付いてはいるでしょう。幸運値が高い者は、ガチャの結果がある程度、本人の希望に沿うようになるのです。
彼女の幸運値は、かつてこの世界に生まれた全ての存在の中でも、至上最高値ですので〉
僕は目を閉じたまま、無言でコレットさんの耳周りの毛繕いをした。
〈良ければ貴方から彼女に伝えてください。耐性スキルを取れと。
今のままだと、魔王の射程範囲から逃げ回るだけしかできませんよ〉
……今度会ったら伝えておきます。
それで、他の仲間候補みたいなのはいるんでしょうか。
〈そうですね。貴方も何度か会ったことがあると思いますが、ラヴィズもスキルを積み重ねていますね。偶然に近いとは言え、魔王の権能にも1度耐えた実績持ちですよ〉
はあ、ラヴィズさん。
〈ほら、シジューサンワのメイドです〉
シジューサンワさん。
〈ああ……貴方は姫様と呼んでいましたか〉
あ、姫様ですか! そういえばウラギール大司教がそんな呼び方してたような。
というと、メイドと言うのは……えぇと、あの、逆恨み通り魔首無しメイドですか。
〈彼女は【不死】スキルを持っていますので、適当な魔晶鉱山を枯らすつもりで11連ガチャを回し続ければ、なかなかの戦力になりますよ。折良く、今は山本と行動を共にしているようですね〉
僕は目を閉じたまま、無言でコレットさんの頬周りの毛繕いをした。
〈他には、【スキル強奪】スキルで多数のスキルを集めているドーロボという者がいますが、こちらも一度会ったことがありますね。
それから【不死】スキルを持った者がもう1人、イジョーシャという名です。今はまだ【不死】以外のスキルは持っていませんが、こちらも11連ガチャを回して貰うと良いでしょう。
現在は全員がサーロイン聖国の聖都周辺に集まっていますよ。
聖国には純血のドラゴンもいますから、協力を取り付ければ火力の足しにもなるかも知れませんね〉
……僕は、目を閉じたまま、無言でコレットさんの首から腕にかけての毛繕いをした。
知識神様と直接お話ができるようになると、あれですね。
神目線の話が押し寄せてくると、情報量が多すぎて、ちょっと整理できないですね。
〈ああすみません、人族の知能を過信していました……〉
いえいえ、大丈夫です。こちらこそ処理能力が足りず申し訳ないです。
とりあえず、聖国の聖都とやらに行けばいいんでしょうか。
〈そうですね。創世神の勇者とでも銘打てば箔も付くでしょう〉
知識神の勇者じゃなくて良いんです?
〈はい。彼女の方が名前も売れてますし、勢力も大きいですし〉
僕、その創世神って方よく知らないんですけど。
〈この世界に来る時に会ったでしょう。貴方達や女神教が女神と呼ぶ神ですよ〉
……なるほどです。
〈女神と言うのは、彼女の名前から取った愛称ですね。
女の神か男の神かと言う話なら、私だって女神ですし〉
それは確かに。
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