128. どうだ、積めるだけ積みたくならねえかい?

 ということで、スキル一覧を見せた。

--------------------------------

■スキル一覧

 LegendRare(★★★★★)

 ・【ガチャでNしか出ない呪い】

 Normal(★☆☆☆☆)

 ▼能力強化スキル

 ・【体力上昇:下級】×10   (上昇率+10%)

 ・【魔法力上昇:下級】×13  (上昇率+13%)

 ・【攻撃力上昇:下級】×6  (上昇率+6%)

 ・【防御力上昇:下級】×9  (上昇率+9%)

 ・【敏捷性上昇:下級】×11  (上昇率+11%)

 ・【器用度上昇:下級】×7  (上昇率+7%)

 ・【精神力上昇:下級】×5  (上昇率+5%)

 ・【幸運値上昇:下級】×11  (上昇率+11%)

 ▼状態異常耐性スキル

 ・【毒耐性:下級】×10    (蓄積値-100%)

 ・【混乱耐性:下級】×10   (蓄積値-100%)

 ・【転倒耐性:下級】×6   (蓄積値-60%)

 ・【病気耐性:下級】×7   (蓄積値-70%)

 ・【睡眠耐性:下級】×6   (蓄積値-60%)

 ・【魅了耐性:下級】×7   (蓄積値-70%)

 ・【幻惑耐性:下級】×5   (蓄積値-50%)

 ・【暗闇耐性:下級】×8   (蓄積値-80%)

 ・【魔封耐性:下級】×9   (蓄積値-90%)

 ▼属性耐性スキル

 ・【炎熱耐性:下級】×8   (被害量-80%)

 ・【冷気耐性:下級】×11   (被害量-110%)

 ・【電撃耐性:下級】×10   (被害量-100%)

 ・【圧力耐性:下級】×7   (被害量-70%)

 ・【切断耐性:下級】×8   (被害量-80%)

 ・【刺突耐性:下級】×8   (被害量-80%)

 ・【衝撃耐性:下級】×10   (被害量-100%)

 ・【神聖耐性:下級】×7   (被害量-70%)

 ・【邪法耐性:下級】×9   (被害量-90%)

 ▼状態異常付与スキル

 ・【毒付与:下級】×5    (蓄積値+25%)

 ・【混乱付与:下級】×15   (蓄積値+75%)

 ・【転倒付与:下級】×7   (蓄積値+35%)

 ・【病気付与:下級】×7   (蓄積値+35%)

 ・【睡眠付与:下級】×5   (蓄積値+25%)

 ・【魅了付与:下級】×7   (蓄積値+35%)

 ・【幻惑付与:下級】×14   (蓄積値+70%)

 ・【暗闇付与:下級】×9   (蓄積値+45%)

 ・【魔封付与:下級】×8   (蓄積値+40%)

 ▼特効スキル

 ・【対人特効:下級】×7   (加算量+35%)

 ・【対獣特効:下級】×10   (加算量+50%)

 ・【対空特効:下級】×8   (加算量+40%)

 ・【対霊特効:下級】×11   (加算量+55%)

 ・【対物特効:下級】×13   (加算量+65%)

 ▼感知スキル

 ・【危機感知:下級】×8   (成功率+40%)

 ・【嘘感知:下級】×8    (成功率+40%)

 ・【魔力感知:下級】×7   (成功率+35%)

 ▼貫通スキル

 ・【防御貫通:下級】×9   (貫通量+45%)

 ・【精神貫通:下級】×8   (貫通量+40%)

 ・【耐性貫通:下級】×9   (貫通量+45%)

 ▼奪取スキル

 ・【魔法力奪取:下級】×10  (成功率+50%)

 ・【窃盗:下級】×7     (成功率+35%)

 ▼抵抗スキル

 ・【感知抵抗:下級】×15   (成功率-75%)

 ・【貫通抵抗:下級】×8   (貫通量-40%)

 ・【奪取抵抗:下級】×6   (成功率-30%)

 ▼特殊強化スキル

 ・【高速思考:下級】×14   (上昇率+14%)

 ・【高速詠唱:下級】×7   (上昇率+7%)

 ・【ドロップ上昇:下級】×14 (上昇率+14%)

 ・【回復速度上昇:下級】×7 (上昇率+7%)

 ・【好感度上昇:下級】×7  (上昇率+7%)

--------------------------------

 一応★★★★★星5の所は手で隠したよ。


「なっ……何だァ、このスキルの数はァ!!」

「状態異常耐性に、耐冷、耐電、耐衝撃……補正値が100%以上のスキルが複数……だと……!?」

〈え。……は? 何これ〉


 3代目、梶谷さん、二本松さん。初見の人達によくあるリアクションを頂いてしまう。

 二本松さんには後で細かく説明しますが、簡単に言うと、僕ガチャをたくさん回せるんですよ。


 この世界こっちに来た当初ならともかく、これだけスキルが重なると、僕も強くなったような気がしてくるなぁ。

 とはいえ、危機感知スキルを活用して僕の上位互換みたいなガチャを回してる山本さん知人もいるので、単なる気のせいだとは自覚してるけど。


〈お……おお? ガチャを回せるって言いました? ならガチャアイテムも持ってます?

 壊れても良いガチャアイテムもありますよね?〉


 壊れても良いかは知りませんが、ガチャアイテムはありますよ。


「ウサササ……ウササヒヒ………ウサーッヒッヒッヒ!!

 素晴らしい! これは夢が広がるぞォ!!」

「うへへへへ……まずは予算の確認を……予算……? ふん、何が予算だ!

 足が出たら儂が出すぜ! 試作品を色々とぶち込んでやろうとも!!」

〈やったーっ! 自由に壊せるガチャアイテムだーっ!!

 是非、是非ガチャアイテム開発室うちにも1枚噛ませてくれーっ!!〉

「うわぁ」


 情報が頭の中で整理されたのか、所員の人達のテンションとリアクションが大変なことになって来たので、僕はコレットさんの目を覆って視線を遮った。

 こうなるような気はしたんだけど、思ったより教育に悪そうな絵面だったので。


「わふ、見えないですワン……」

「ちょっと待ってね」


 手振りで3人を落ち着かせてから、目隠しの手を離す。


「先に言っておきますけど、スキル全部を活かすようなギミックは要りませんよ。絶対邪魔なだけなので」


 それと、何だか僕の知らない内に僕の腕の仕様が決まってしまいそうな雰囲気もあったので、軽く牽制しておく。

 出歩くだけで腕を乗せる台車が必要な右腕、の実物を他所のお店で見てしまったので、僕の懸念は間違っていないと思う。


「しかしねェ少年。折角のスキルだろォ? 可能な限り活かしたいと思わんかねェ!」

「物によっては、別に義手に仕込む必要は無いですよね」

「ふん、坊主。高度な義体ってのはな、肉体の一部だぜ。

 慣れりゃあ外付けの道具より細かく操作できる。

 燃料にわざわざ魔晶玉を使わなくても、自分の魔法力を使える。

 ちょっとした傷も再生する。……どうだ、積めるだけ積みたくならねえかい?」

「ならないです」


 腕の使い勝手は死活問題なので。



 一旦落ち着いてもらうためにも詳細はまた明日から話し合おう、ということになり、僕とコレットさんは借りた部屋へと案内された。

 3代目が道々、各開発室の人に僕のスキルをべらべら喋るものだから、他の開発室の人達まで僕の義手に興味を持ってしまった。


「お兄さん、疲れてますですワン。大丈夫ですワン?」


 コレットさんは首を傾げて僕を見上げる。


「大丈夫。必要なことだったと思うし」


 色んな人にスキルを知られたリスクはあるけど、それでも強くならないと駄目なので。


 メイドの人にさえボロボロにされたのに、桁違いに強い魔王とも戦うことになるかも知れない。いや、商国を滅ぼしたのが本当に魔王の仕業なんだとしたら戦う以前の問題だけど……逆に現実味がないのかなぁ。

 ともかく、山本さんとか、僕より強い人の補佐ができる程度には強くなりたい。そのためには長く生き延びて、できるだけガチャを回さないといけない。だから今すぐ手に入る力があるなら、欲しい。


 見渡す限りを焼き尽くした火柱、魔王にあれと同じことが簡単に出来るなら、もう大陸中が灰になっててもおかしくないけど、そうでないからには何か理由があるんだろう。今日明日で世界が滅びるということは無いはずだ。


 女神に義理は……なくもないけど、それより例えば、カタロース王国が滅ぼされたら嫌だしなぁ。カタロース王国が滅ぼされたら嫌だしなぁ。良い思い出はあまりないけど、無いことはないし、友達の実家もある所だから。

 カタバラ商国の知り合いは……大体死んじゃったと思うけど、今も隣にコレットさんがいる。

 死なないで済む人は死なないで欲しいよ。僕は。


 1室に6つ並んだベッドを1つずつ選んで僕とコレットさんは床に就き、僕は眠るまで二本松さんがあれこれ僕の義手について検討する声を聞いていた。




 翌朝、ラボの全体が妙に騒ついている中を、僕達は食堂に向かう。

 場所は亡霊ながらベテラン所員の二本松さんに案内してもらったので、迷うこともない。


 食堂では数名の所員の人達と共に、3代目が大急ぎで朝食を掻き込む姿があった。


「ああっ、お客の少年ンン! すまないなァ、今日は案内が出来そうにないんだよォ」

「何かあったんですか?」

「実は昨晩あの後、国軍が乗り込んで来てねェ……」


 聞けば、所長が捕まったそうだ。

 理由は国家反逆だとか、外患誘致だとか、スパイ行為だとか。


「全くの濡れ衣だよ。スキル研究が気に入らない連中の仕業だろうなァ……」

「所長はどうなるんです」

「死刑だろうねェ。ああ、少年の義手の件には何の影響も無いよォ?」


 半笑いの口で言う3代目だけど、実の祖父の話だ。声は随分萎れていた。

 長く引き留めても悪いので、あちらの食事が終わった所で食堂を送り出す。


〈そうですか……所長が……〉


 二本松さんが小さな声で呟くのが聞こえる。


「海の近くと比べると、こっちは普通のご飯ですワン」


 コレットさんはそんなことを言いつつも、美味しそうにご飯を食べていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る