061. ゴースゴスゴス……生者が憎い…………

〈ラヴィのお墓を作りましょう!〉


 ラヴィさん。

 確か、鉱山にも付いてきた姫様付きのメイドの人だ。

 ナイフとか振り回す危ない人だったと思う。


〈ゴスゴス……あのメイド、昔はカッとなったら普通に刺してきたからね。最近は丸くなってたよ〉


 丸くなった人が、気配消した所から目の前に黒塗りのナイフを突き付けたりするんですね。異世界こわ。


〈ラヴィはやれば出来る子でしたのよ〉


 ううん。能力は高かったような気はします。


〈では姫様、まずはあのメイドの実家に顔を出す流れですか?〉

〈うーん、ラヴィのご家族はみんな亡くなってますし、住んでたのはそこですわね〉


 姫様が示す方向には、鉄柵越しの領主のお屋敷があった。

 あ、はい、じゃあ行くのは無理ですね。


 僕の地元だとお墓は家単位で1つだったんですけど、こっちの文化ではどうなんでしょう。

 町の近くに家族のお墓があるなら、その近くに作ったりするんです?


〈ラヴィの家族は罪人として処刑されましたので、ご家族のお墓はありませんわ……何処に作れば良いのかしら?〉


 んんん。そうですか。

 細かい背景は気にしないことにしよう。


 じゃ、どうしようかな。

 こういう時、よくあるパターンだと「町を見下ろせる丘に造ろう」とかになるだろうけど、ラビットフィールドの町の近くには、鉱山に向かう山道と、だだっ広い草原しかないからな。


 メイドの人が好きだった場所とかありますか?


〈うーん……大体わたくしと一緒に行動してましたし、わたくしがいない時は、そうですね、わたくしのお部屋によくいましたわ!〉


 ……他に無いですかね。

 町の中で好きだった場所とか。


〈そもそもラヴィはこの町が嫌いだと言ってましたわね〉

〈いや少年、町の中に墓を作るのもどうかと思うよ?〉


 じゃあもう外にしましょう! 町の外!


〈あ、そうですわ!〉


 何でしょう?


〈ラヴィはお休みの日、ラビットフィールドの開拓村跡に遊びに行くことがありましたわね!

 ムサボリオオウサギの牙なんかお土産に貰ったことがありますわ〉


 ならそこにしましょうか。

 何か物騒な名前のウサギが出るらしいですけど、所詮はウサギ。あのロックビーストを単独撃破した僕なら余裕でしょ。


〈それが終われば、もうやり残したことはありませんわね!

 そのままプレタさんの目的地、王都の大聖堂に向かえばいいと思いますわ!〉


 了解です。

 お金もないから物資の補充もできないし、もうそのまま出発でいいか。

 プレタさんもそれで良いですか?


〈ゴースゴスゴス……生者が憎い…………〉


 プレタさん?


〈えっ、ああ。楽しみだね、大聖堂〉


 僕はだいぶ不安になって来ましたけど。

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