048. 本当帰りたい

 今日は、殺人鬼3人組と僕のグループに、お嬢様ですわの人が加わっての探索になる。

 殺人鬼共は明らかにお嬢様を殺す気だし、そうなると、メイドの人も加わっての殺し合いだろう。


「行きたくない……仮病使おうかな……」


 とか言いながらガチャを回すと、【病気耐性:下級】とかいうスキルが出た。

 前から思ってたけど、このガチャたまにこういうことするよね。


 というか、日記を読み返して思ったけど、やっぱりこれ僕、ちょっと病み始めてない?

 また混乱とかしても嫌だし、精神衛生には気を付けたいんだけど。


〈テロっち、俺はあの女の子には気を遣ってあげた方が良いと思うぜ〉

〈アタシもモッコイに賛成〉


 と亡霊のモッコイさん、プレタさん。

 僕も出来れば人死には避けたいですけどね。


 無理な時は無理ですよ。万能最強チート主人公でもあるまいし。

 止めに入ったら双方から殴られて、真っ先に死ぬと思います。


〈お、おう……まあ、お前が死なない程度でいいぜ〉

〈アタシらとしても、アンタの命が最優先だからね……〉


 お解りいただけたようで何よりです。


 朝食だけ掻き込んだら、早めに出るかな。




 本当帰りたい。


「おっしゃあ! 今日は俺の鶴嘴でぐちゃぐちゃの血みどろに引き潰してやるぜ……岩盤をな!」

「でへ、でへへ、楽しみなんだな! ぐちゃどろにブチ犯してやるんだな……岩盤をなんだな!」

「ケキャキャキャキャ! お貴族様の隠し財産を手に入れるチャンスですねェ……岩盤のねェ!!」


 こいつら、根が正直者なんだよね。

 強いて言うなら、「岩盤の隠し財産」はギリギリ意味が通る気もするね。いや通らないな。


〈……この会話聞こえてるスよね? 姫様はともかく、メイドは何考えてるんスかね〉

〈知らないよ。また適当に姫様全肯定してんじゃん?〉


 亡霊の人達も、昨日から内緒話が多いんだよな。

 お嬢様を見た瞬間「あっ」とか言ってたし、時々「姫様」とか漏れ聞こえてくるし。


 とはいえ、面倒臭そうなバックグラウンドは、詳しく聞かない方が精神衛生に良い気もする。


「本当に来るの? 止めた方が良いよ? こいつら見て何も思わないの?

 メイドさんからも言ってあげてくださいよ」


 僕は小さな希望を抱いて最終確認を行った。


「わたくしにはスキルがありますのよ! 必ず活躍してみせますわ!!」

「お嬢様がやると仰ったのだ。下民風情が口を挟むな!」


 あっさりと断られたし、若干ながら精神的なダメージを受けるだけに終わった。

 うう……。


「どうせ鉱山送りになるような重犯罪者の人だし、本人がいいなら別にいいか……」


 そうして結局、僕達はそのまま全員で坑道に入ることになってしまった。

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