042. シジューサンワ=デ=バクシースルの名に懸けて!
「ガチャですの?」
「ええ。魔晶玉3000個を使った、11連ガチャでございます」
11連ガチャ。
10回分の魔晶玉、宝玉を捧げて、11回分のガチャを回す至高の祈り。
「11連ガチャでしたら…」
「
「はい、その通りでございます」
本来は0.16%しか出ない高位スキルが、確実に1枠出てくるのも、11連ガチャの特徴ですわ。
「……
「慧眼でございます、お嬢様。そうすれば必ず、」
99%の確率で
それが不死系スキル。【不死】【確率自動蘇生】【九つの命】と言った、死を回避する伝説級のスキルなのですわ。
今と違って、ガチャが当たり前に回されていた古代の記録に記されていた、現代では名前が残るそれら。
絶対に死なない身体になる【不死】、幸運値依存で死亡時に蘇る【確率自動蘇生】、9回までは死んでも蘇る【九つの命】。
どう見ても【不死】が上位互換に見えますわね。
【九つの命】は11連ガチャだと2回は自力でノーマル以上を引かないと差し引きで死にますし、【確率自動蘇生】は幸運に幸運を重ねなければなりませんが……それでも、可能性はゼロではないのですわ。
「では、まずはわたくしが回しますわね」
まあ、このままではわたくしは死ぬのです。
たとえ不死系スキルが出なくとも、一撃でロックビーストを葬れるようなスキルが出れば、一か八か爆死前に試してみることも出来ますものね。
「お、お嬢様!? おかしなことを仰らないでくださいませ!
まずは私が回し、必ずお嬢様をお助けいたします!」
「いえ、わたくしはもう助かりませんもの」
「大丈夫です! 私が! お助けいたします!」
ううん。
ラヴィは、こういう時にわたくしの言うことを聞かないのが悪い所ですわね。
わたくしの脚が千切れていなくとも、ここはわたくしがガチャを回すのが当然ですのに。
このままでは埒が明きませんわ。
「そうね、ラヴィ。では一旦落ち着いて、話し合いましょう」
「……承知いたしました」
わたくしは声を掛けながらガチャメニューを操作し、ううん、視界が暗くて難しいですわね。
「ねえ、ラヴィ」
「はい、お嬢様」
ガチャメニューは薄く青い光を放ち、完全に尽きた魔法の代わりに暗がりを照らしています。
「わたくしには、わたくしのメイドを守る義務がありますの」
「はい、私もいつも、お嬢様のお陰で幸せに暮らせております」
ああ、確かに11連ガチャのボタンが明るくなっていますわ。
ここはラヴィの言う通り、魔晶玉3000個を優に越える魔晶が固まった、大結晶層なのですわね。
「お父様や、ご先祖様達から引き継いだ、バクシースルの家名にかけて」
わたくしは迷わず11連ガチャのボタンを押しました。
「そしてこの私、シジューサンワ=デ=バクシースルの名に懸けて!」
『ピロリッ、ガチャッ、スタートッ!!』
『ピロリッ、ガチャッ、スタートッ!!』
重なって聞こえる2つの声。
「まさかラヴィ、貴女……」
「お嬢様……ッ! 回して、しまわれたのですね」
隙をついて先に回そうと思っていたのに、ラヴィも
「……ふふっ。これで
これなら、きっと1つは当たるわ」
ふう。最後まで、上手く行きませんわね。
私の目の前のウィンドウ上のガチャ演出には、11の扉が並んでいました。
そして、その扉の色は……。
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