039. 俺の鶴嘴でぐちゃぐちゃの血みどろに引き潰してやるぜ……岩盤をな!

「ラヴィ、あなた、わたくしが単に宝探しがしたくて、皆様に同行したと思っているでしょう」


 大結晶層捜索に加わると決めた後、衝立に囲まれたわたくし専用スペースの中で、わたくしはラヴィにそっと耳打ちをいたしました。


「まさか、それにお気付きとは……!

 流石はお嬢様、見事な洞察力、推理力でございます………!!」


 わたくしに心の中を言い当てられた彼女は、小さく感嘆の声を上げました。

 ふふっ、長い付き合いですものね。


「わたくし達がここへ来た目的をお忘れかしら? そう――お父様の仇を探すためですのよ」

「!! なんとお嬢様、それを覚えていらしたのですね……! とすると……」

「ええ。犯人は比較的最近、この鉱山に送り込まれたはずですわ。彼らから情報を得るのです」


 彼らのグループは番号の数字がわたくしに近い人が多く、きっと犯人の情報も持っているに違いありませんわ。


「虎穴に入らずんば虎子を得ず、という訳でございますね!」


 ラヴィが諸手を上げて喝采してくれました。

 ふふふ、流石はわたくしですわ。

 たった今、後付けで思い付いた理由で、ラヴィをここまで感動させてしまうとは。



 それからわたくしは一晩ぐっすり眠り、あくる朝は朝食後すぐ、採掘道具を持って坑道前に集合いたしました。


「おっしゃあ! 今日は俺の鶴嘴でぐちゃぐちゃの血みどろに引き潰してやるぜ……岩盤をな!」

「でへ、でへへ、楽しみなんだな! ぐちゃどろにブチ犯してやるんだな……岩盤をなんだな!」

「ケキャキャキャキャ! お貴族様の隠し財産を手に入れるチャンスですねェ……岩盤のねェ!!」


 こちらを見て、粘ついた笑顔で抱負を語るお三方。

 皆様すごい気合ですわね! わたくしも頑張りますわ!


「本当に来るの? 止めた方が良いよ? こいつら見て何も思わないの?

 メイドさんからも言ってあげてくださいよ」


 329番さんはわたくしを心配してくださっているみたいですが、大丈夫ですわ!


「わたくしにはスキルがありますのよ! 必ず活躍してみせますわ!!」

「お嬢様がやると仰ったのだ。下民風情が口を挟むな!」

「うう……ボソどうせボソボソ鉱山送りにボソボソなるようなボソボソ……重犯罪者の人だし、本人がいいなら別にいいか……」


 何かボソボソ仰ってますが、よく聞こえませんでしたわね。

 まあ、認めてはいただけたようなので、何も問題ありませんわ!

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