029. 死の褒美! 実在したのか!!
〈あんな罠ある!!?!?〉
身体が透けた女の人が荒れていた。
〈高位聖職者が祈った偶像の影には神が宿る!
宝玉砂利は踏むだけで1時間祈りを捧げたのと同じ御利益がある!
従って高位聖職者が踏んだ後の宝玉砂利を踏んだら神を足蹴にしたも同然!
ゆえにガチャ刑! 何だその糞コンボァ!!!!〉
〈まあまあプレタさん、落ち着くっス……〉
身体が透けた男の人がそれを宥めていた。
〈落ち着けるか、モッコイ! こっちは死んでんだよ!
あ、でもそっちも死んで……いやいややっぱおかしいわ!
アンタが落ち着きすぎなんだよ!!〉
それは僕も思う。
僕だって死んですぐの時はこれくらい混乱してたような……してたかな?
〈テロリスト君も死んでたのか?〉
〈どゆこと? 生きてんじゃん〉
えぇと、簡単に言うと、死んで女神様に生き返してもらった的な。
〈何それずるいぞ!〉
〈アタシ達も生き返してよ!〉
一緒に生き返った人達は、生き返った直後に9割以上死んだんですけど。
〈お、おう……〉
〈強く生きなよ……〉
亡霊のお兄さんことモッコイさん、亡霊のお姉さんことプレタさんは憐れみの目(半透明)で優しく労ってくれた。
ガチャ爆死した兵士の人に憑かれて3日目、今朝からはもう1人追加されて2人。亡霊との会話にも慣れた。
こちらは口に出さなくても伝わるので、独り言を周囲に怪しまれるようなこともない。
それに色々試してみた所、意識すれば心を読まれないようにすることもできるようだ。
なので、特に気にしないことにした。
護衛の旅も6日目、今日が目的地への到着予定日だ。
ちなみに、昨日5日目のガチャ結果は【対物特効:下級】。無機物に対し、攻撃力の5%分の威力を耐性無視で加算するスキルだった。
ボーナスステージで車やレンガを破壊する時に役立ちそうだね。
本日6日目は【圧力耐性:下級】。重い物に潰されそうになっても、ちょっと我慢できる感じ。
〈本当に1日1回回せるし、本当に
塵も積もれば山となる、同じスキルが重複すれば使えるようになるかな、と思ってたんですが。
〈ですが、どうした?〉
スキルの種類が思ったより多くて、これ全然重複しないなと。
〈お、おう……〉
〈強く生きなよ……〉
アイテムも結構出ますけど、装備品なんか同じのが溜まっても売るしか出来ないし。
〈ん? いや少年、ガチャ装備だろ? 重複はするんじゃん?〉
どういうことです?
〈ドロップアイテムの装備品も、同種なら合成できるだろ。多分ガチャ装備もできるぞ〉
……何かまた知らない仕様が出てきた。
馬車の荷台で亡霊の人達と雑談をしている間に、僕達は旅の目的地、鉱山の町に到着した。
僕に話しかけると爆死する、みたいなジンクスが出来たのか、5日目以降は生きてる人とは一言も会話をしてなかったんだけど、久々の生者との会話だ。
「御苦労だった、冒険者よ。これにて依頼は完了とする」
依頼主、領主の人だ。
「はっ」
僕は亡霊のお手本に従い、一般人から貴族への礼―――膝をついて頭を下げ、それっぽい返事を返した。
「それでは依頼の報酬を支払おう。おい!」
「はっ!」
領主の一声でお付きの人は、馬車から派手な装飾の宝箱的な物を運んでくる。
んん。あれって、あれだよね。
〈【拡張ストレージ】か。宝玉で支払いとは流石うちの領主様、頭はおかしいけど金払いだけは良いんだよなぁ〉
〈宝玉なら1個5000
5000c! まだちょっと物価の感覚わかんないけど、ラビットフィールドの町の宿が、1泊2食付きで280cだ。
6日間の時間的な拘束だけで貰える金額としては、そんなに悪くない気がする。
僕が内心で(亡霊2人は大っぴらに)わくわくしながら上目遣いで見ていると、領主の人が鍵を開け、お付きの人は箱から……箱を引っくり返して………おおお?
じゃらじゃらじゃらじゃら
止まらない。流れ出てくる拳大の宝石が止まらない。
ガチャを回す時の小山、300個どころの量じゃない。
ざっと見てその7、8倍………いや。
〈はぁ!? まさか、あの馬鹿領主!
〈最初からテロ少年を殺す気だったってこと!? あの糞領主、マジで糞だな! アタシも死んでるから言えるけど!〉
死の褒美! 実在したのか!!
〈馬鹿! ハゲ!〉
〈糞野郎! 加齢臭!〉
えええ。道理で話がうまいと思ったよ……。
いや、僕は別に11連でも110連でも全然問題ないんだけど……。
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