021. これが、就業氷河期……!
「これが、就職氷河期……!」
全然駄目だわ。
求人の貼り紙を見てお店の人に声をかけても、「他の人に決まった」だの「女性を想定してた」だの「1年以上の実務経験が必要(推奨2年以上)」だの、何だかんだでやんわり断られてしまう。
一度なんて、僕が諦めて帰った直後に別の求職者がやってきて、そのまま採用されてるシーンに
流石に理由を聞いたところ、店員の人に
「す、すみません、殴らないで!」
との突然の土下座を受け、僕は察した。
あれだな。僕を理由もなく人を殴る、狂暴な通り魔だと思ってるな?
一生懸命に説得を重ねたものの、「許して!」「ごめんなさい!」「そ、それに一応、あなたを雇うなとも言われてて!」「ひっ、言えません! 誰から言われたかは言えません!」と大騒ぎするばかりで、ほとんど会話にならない。
あと何か、僕を雇うのを妨害してる奴がいるらしいね。
そんなに恨みを買うようなこと、うーん、したなぁ。
悪かったとは思ってるんだよ。もう
求人が出ていなくても、飲食、販売、建築、農業、未経験で出来そうな仕事はいくつか回ってみた。
けれど、不採用続きで心が折れてしまった。
「結局、ここか」
ここしかないのか。
未経験可、資格不要、紹介不要。
登録料の小銭があれば誰でも働ける。
ただ、町の外の仕事や、戦闘に関わる仕事が中心で、それなりに命の危険がある。
だから嫌だったんだけどなぁ。
そうして僕は、昨日ぶりに冒険者ギルドを訪れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます