ココロのイシ

花音

序章


 どこか遠い国のお話のように感じていた。

 この国が狙われた戦争は私にとってはラジオの中の出来事でしかなくて、辺境のこの村はいつもと変わらず、日々を過ごしていた。日が昇る頃に起き、畑の手入れをし洗濯をして干して、収穫した野菜や卵でご飯を作り食べる。そんな変わらない愛しい日々。


 なのに、


 「やっと、見つけた……!」

 ボロボロの白衣を着た青年は私を見てそう呟き、襲いかからんばかりの勢いで私に縋りつきこう言ったのだ。

 「頼む、一緒に、帝国を、滅ぼしてくれ。」


 よく晴れた風が心地よい初夏の日、戦争は遠い国のお話から私の人生そのものへと変わったのである。

 

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ココロのイシ 花音 @kanon_music

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