籠の外14

「コウジ、もう一個くれ!」


「沢山食べたろ?もうこれで終わりにしとけよ」


「おうよ」


結局キャロルに1箱なりのショコラを頂いてしまった・・・結構沢山入ってるけど一体いくらなのだろうか・・・


箱の中に綺麗に並べられた色とりどりのショコラは様々にデザインされているのだが一点、雫をモチーフにしている点で共通していた。こうして見ると精魂込めて磨かれた宝石が詰まったジュエリーケースを開けているみたいだ。いっぺんに食べて仕舞うのも惜しいので、腰に備え付けられたポーチにしまっておくことにした。


キャロル達と別れてから、取り敢えず路地を歩いてみたはいいが・・・


「これ、完全に迷ったぞ・・・」


最初は広かった路地も進む度に狭く薄暗くなり、不安を一層駆り立ててくる。


「シュガー、自慢の耳で大きな通りの位置とか分からないか?」


「ん〜」


シュガーは立ち止まって、様々な角度へ長い耳を向けて音を探り始めた。

すると突然目を開き、耳をピンとさせてから右隣へ伸びる急な坂の道を指差した。


「何か来るぞ、いっぱい向かってくる音がする!」


急いで坂へ身構えるが、それらしき気配は感じない。何だろう?大勢で来るとなると少し身の危険を感じるのだが・・・


その時、坂の上から何か丸い物が転がり落ちてきた。俺は、坂を下り終えたそれを拾い上げると目を見張った。赤子の頬を思わせる優しい赤色、手に馴染む丸み・・・間違いない。


「これって・・・りん」


「誰かーーー!止めてーーー!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る