籠の外11
俺は慌ててシュガーを引き止めようとするが、相手はホーンラビットだ追いつける筈もなく、横路へ入りやっと追いついた時には既にシュガーは母娘と向き合っていた。
「いいわ!1つ分けて差し上げますわ」
「わぁぁぁ、ありがとー!オイラ、プレイヤーから物貰ったの初めてだ!この恩は一生忘れねぇ」
「まぁ、ふふっ」
小さな少女から親指程の包みを貰って喜ぶシュガーの姿に少し胸をなで下ろして俺は母娘に丁寧に頭を下げた。
「すみません!うちのが迷惑をお掛けした様です。お嬢様から贈り物を頂いた様ですが、なにぶん先程この街に来たばかりでしてお返し出来そうな持ち合わせが何もございません。ですのでこちらは頂けま」
「なりません!!」
日傘の下で高そうな黒いドレスを身にまとった夫人へ向かい話をしていると、突然下の方から勢いよく声が飛んできた。
「一度口にした事を違えるなどスペンサーにあるまじき事、どうかこのキャロラインの名に免じて受け取って頂けませんか?」
愛らしく微笑む美しい少女の後ろでオロオロとする女性。中身が入れ替わっているのかと疑うくらいに不自然な光景に目と耳を疑うばかりだ。
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