籠の外10
「くっ、またか・・・大丈夫だシュガー」
また記憶・・・ここに来てから立て続けだ。だが相変わらず見当違いなものばかり・・・ケーキ屋だと?チョコレートの店を見て何故思い出すんだ!?それにどうして子供の時ばかりなんだ!俺が知りたいのはもっと最近の記憶だ・・・まて・・・チョコレート?
慌てて看板を見返すとやはりよく分からない文字だ。しかし不意にチョコレートと頭に浮かんだのだ。
まさかと思い隣の店の看板を見るとやはり解読不能・・・しかし、
「帽子屋」
読める!?いやこの感覚は読んだのではない。忘れた事を思い出した時の感覚によく似ている。
「ぼう、や?そんな事よりあれは何なんだよ!気になって背中がムズムズするんだ!」
シュガーは足をばたつかせたり、仕舞いにはその場で飛び跳ね始めるので、説明してやる事にした。
「あれはチョコレートといって、食べると口の中で甘く溶けるお菓子だ。だが・・・って、シュガー!?」
説明している間少し目を離した隙に、隣で手を繋いでいた筈のシュガーがすっかり消えており、驚いて周りを見ると先程店の中にいた母娘がオシャレな紙袋を手に通りを歩いていた。
そして、何を思ったのかシュガーはその2人へ向かって一直線に駆け出している。
母娘は大通りから少し狭い横の路地へ曲がり、シュガーもその後をついて姿を消した。
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