第78話 side

「で、どうしたらいいと思う?」

「どうしたらと言われましても、まだ、お前、あいつと付き合えてなかったのかよ」


 目の前にいる育人が溜息をつく。


「しょうがないじゃない。私には強大すぎる敵が二人もいつの間にかできてたんだよ?」

「それには俺もびっくりしたけれど」


 お昼時のとあるファミレスで、苦言を垂れている私。


 育人は、私たちと違う学校を受験したから会う頻度は減ったけれど、私がこうして恋愛相談なんてできる相手は限られているので、相談に乗ってもらっている。


「結人も超絶鈍感なのも悪いけれど、踏み出せない志保も悪いからな」

「それを言わないで。私だってかんばっているのよ」


 私だって、頑張っている。結人君にお弁当作ってあげたり、その……はしたないけれど、胸………とか当ててみたり。


「志保がぐずぐずしている間に、俺は彼女作ったけどな」

「うっさい、黙れ」


 そう言って、突っ伏す。


 もし、こうして今、喋っている相手が結人君ならただのファミレスだって、もっとこう、楽しいのかも。


 例えば。……あーんとか、してみたり?


「なんだよ、急ににやけて」


 と思ったが、目の前にいる育人で急に眼が覚める。


「と言うか、育人はどうやって彼女を作ったのよ」

「普通に、好きです付き合ってくださいって言っただけ」

「うっ……」


 そう、こいつは馬鹿だけれど、純粋で、思ったことを言える。


 そこが羨ましくもあり、少し嫉妬するところでもある。


 私にその勇気があったなら、今頃付き合えていたのだろうか。


「まぁ、焦る気持ちも分かるけれどよ。相手はモデル並みの体系で、顏よし、性格は……結人にはすごく優しいみたいだけれど、お前にはお前のやり方を見つければいいんじゃないの?」

「例えば?」

「志保、料理得意じゃん」

「もうそんなの試したし、結人君の方が全然料理上手くて自身亡くしたぐらいだよ」

「そう言えば、結人もすげぇーハイスペックだったな。俺も、結人の料理久々に食べたいな」

「私は、最近、結人君の家に止まって、手料理も食べたけどね」

「そこで、マウントとっても別に悔しくねえよ」

 

 そんな、一歩も前進しない非建設的な事を言い合っていると、育人が唐突に思い出したように言う。


「そう言えばあったじゃん。志保は未だに委員長やってるのか?」

「未だにやっているけれど何?問題ある?」

「なんでそう、突っかかるんだよ。そんな事していると、結人に嫌われるぞ?」

「う、うるさい。で、何?」

「そろそろ、文化祭があるし、高校生になったからやれる幅も広がるだろうし、委員長権限使って結人に一緒に会議出てもらうとか、買い出しに行くとかすればいいんじゃ?」

「なるほど、やってみるわ」


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新作の「ギャルが……」をよろしくお願いします

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