第77話 side

 凛SIDE

 

「……なんだか寂しいわ」


 そう部屋で一人で呟く。


 今、家にはお母さんと私しかいない。


 結人は今日、友達の家に行くのだそうだ。

 

 …。……結人って、私たち以外の友達っていたかしら?


 別に侮辱とかしている訳じゃない。四六時中ずっと私たちの誰かがいるから、高校に入ってから、他の人と遊ぶ機会なんてなかったんじゃないかと思う。


 だから、多分、中学の友達とかだろう。


 それと………今日、明音がいない。


 何でも、買いたいものがあるんだとか。


 なんだか、嫌な感じがする。


 大抵、明音は一人でどこかに行こうとしない。私とか、お母さんとかと一緒じゃないと外に出ようとしないのだが、今日は鼻歌を歌いながら、上機嫌に外出しようとしていた。


 過去の事があり、外が怖くて、一人で外出しようとしなかったので嬉しくもあり、同時にすごく疑わしい。


 …………………なぜなら、明音の服にすごく気合が入っていたからだ。


 ませ始めたと言ったら、思春期だしそうなのだろうが、今日、同時に結人もいなくなってくると話が違う。

 

 …。……もしかしたら、二人で、何処かに行こうとしているのかもしれない。


 これは、少し不味いかもしれない。


「私はどうしよう。追いかける?でも………」


 追いかけて、もし本当に違ったとき、ただのストーカーになってしまうし、私も一緒に出掛けたいけれど、明音とは違うアプローチもしたい。


 結人と、関連性があって、褒めてもらえたり、すごいって言われたりすることとなると…。


 私は、部屋をでてキッチンへと行く。


「料理だよね」


 だけれど、私は、今でも少し料理は苦手だ。


 だからと言って、お母さんには頼らない。私一人でやって見せる!


 そして、結人にいっぱい褒めてもらうんだ。


 えへへ。結人、待っててね。


 ………………危ない。キャラ崩壊するところだった。でも、まぁ、結人の前だと、いつも甘えちゃうからしょうがないわね。


「良し、じゃあ、まずは買い物から」


 結人は何を作れば、喜んでくれるか、正直分からない。


 あの子はいつでも、私たちの事を考えているから。好きなもの一つ、答えてくれない。


…。………いや、それは嘘か。


 だって、強引に前、聞いたら。


「えっと、その…、明音ちゃんと、凛さん、母さんが僕は大好きですよ」


 と言われて、すごく嬉しくなったのを覚えているけれど、違うの!そうじゃないの!

 

 はぁ。……ほんとにどうしようかしら。

 


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 久しぶりです。kanikuiです。


 新作の「メンドクサイギャルが…………」が今日出ますので、緊急事態宣言で、家の中に困らないといけない今、読んでくださると幸いです。

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