第49話 小さな進歩と応援

「お、お兄ちゃん。おはよう」

「おはよ、明音ちゃん」


 朝リビングに来ると、何故か分からないけれど前のめりで明音ちゃんに挨拶をされた。それに、今の時間は…朝の五時だ。

 

 今日は僕が朝ごはんを作ろうと思って早起きしたんだけれど、明音ちゃんの方が先に起きていた。


 どうしたんだろう。昨日、何か悩んでいたみたいだけれど、今はそれがなくなったみたいに吹っ切れている。。…でも、もしかしたら、誤魔化すために取り繕ってるだけかもしれないから一応明音ちゃんに気を配っておこう。


「あのさ、一緒に朝ごはん作ろ?」

「良いの!ありがと、明音ちゃん。ちょっと待ってて、顏とかすぐに洗ってくるから」


 ここ最近、やっと明音ちゃんがだんだんと僕と普通に喋れるようになってきて、そして、今日は一緒に朝ごはんも作れるなんて。


 いい一日になりそう。


 そう思って、リビングを出て行こうとして、ちょうどドアが開く。


「おはよ、結人」

「おはようございます、凛さん」

「結人、久しぶりに一緒に朝ごはん作ろ?」

「えぇ―っと」


 どうしよう。明音ちゃんとも約束してしまったし、キッチンは広いけれど、三人でやったら少し窮屈だな、でも、凛さんの受験とかいろいろ被って最近一緒に料理してなかったからしたいなとか思ったりして


「おはよ、お姉ちゃん」

「おはよ、明音」


 後ろから、明音ちゃんが来る。


「で、一緒に朝ごはん作ろ?結人」

「お姉ちゃん、先に言ったのは私だよ?だから、私と一緒に作ってくれるよね?」

「明音は料理できるけれど、私はできないから、結人に教えてもらいたいんだけれどなぁー」

「わ、私、今日の朝ごはんは少しだけ凝ったの作りたいからお兄ちゃんと一緒に作りたいなぁ」

「え、っと、その……」


 明音ちゃんは僕の小指を恥ずかしそうにぎゅっと握ってきて、凛さんはにっこり笑って僕の手を握る。


「おはよ、みんな朝早いね」

「おはようございます」

「おはよう」「おはよう、お母さん」

「何してるの?」


 なんだかこの状態を見て少しだけ恥ずかしくなる。母さんは母さんでこっちをニコニコしながら見てるし。


「どっちが結人と一緒に朝ごはんを作ろうか決めてるところ」

「…そっか。そっか。仲が良くていいね。……頑張れ、明音、凛」

「そうだね。私たち仲いいよね、お姉ちゃん」

「ふふっ。そうね」


 母さんが最後に何か言ったような気がしたけれど、小さすぎてよくわからなかった。


 いつもより、少し騒がしいけれど、今日も一日頑張れるそう思った。


 




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