第44話 決めたものと.....
「はぁ.....」
「ふぅ.....」
「うーん」
三人で気合を入れたのはいいけれど、なかなか決まらない。時刻は十二時を過ぎたくらい。
朝、家を出てからなんだかんだで三時間は経っていた
「分からないなぁ。母さんは別に高いものが好きって訳じゃないだろうし」
「そうね」
そう言ってうーんと凛さんが首を捻ったときに気付いた。
僕が誕生日プレゼントにあげたネックレスを首につけてくれていることに。
今まで、凛さんがなんだかきれいすぎてと言うか、何故だか緊張してあんまり直視しないようにしていて、段々慣れてきたからか、ネックレスをつけてくれていたことに気付けていなかった。
「?結人どうしたの?」
「えっと、その、ありがとうございます。ネックレスつけてくれて」
「やっと気づいてくれたんだ。遅いよ?結人」
「ごめんなさい」
「ふふっ。別に怒ってないよ」
そう言って、凛さんは嬉しそうに笑う。
「.........」
「ん...」
明音ちゃんが僕の袖をそっと引っ張ってくる。
「あ、あのね、お兄ちゃん」
張り詰めた様子で明音ちゃんは下を向いていた顔を上げて、
「わ、私はお兄ちゃんのペンダント今は持ってないけど、大切に、大切にしまってあるから!次からは絶対に着けてくるから」
「う、うん」
明音ちゃんが泣きそうな顔をして必死に大事にしてくれていることを訴えてくれている。
「大丈夫だよ、明音ちゃん。次、楽しみにしてるね」
「う、うん。絶対つけてくるから」
力強く頷いて、胸の前で両手をグッと握って気合を入れている明音ちゃんが可愛くて、微笑ましい。
「ほら、二人とも。おなかすいてきたし、一旦ご飯にしよっか」
「うん」
そう言って凛さんが先に言ってしまうので、追いかけるようにして明音ちゃんと二人で歩こうとして、ふと、母親と子供がよくあるヒーローもののパネルに顔をはめて父親に写真を撮ってもらっているのが見えた。
............................いいかもしれない。
「凛さん、明音ちゃん。フォトフレームってどうですか?」
「...いいね。全然思いつかなかった」
「私もいいと思う。すごいね。お兄ちゃん」
思い付きで言ってみてよかった。後は..........
それから、僕は二人と一緒にご飯を食べたり、クレープを食べてクリームが鼻についている明音ちゃんが可愛かったり、凛さんがクレーンゲームをして意外と負けず嫌いで取れるまでやろうとしたり、僕が二人の着せ替え人形になったりしたりと目一杯楽しんだ。
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