第一幕
2020.3.30 14:43
段ボール箱を抱えたジョゼフ・ドンブロウスキと、本の束を両手に下げた
ドンブロウスキ:さて、改めて魚沼さん、「姉様屋敷」にようこそ。姉はいないが一応は屋敷です。
銀河:よろしくお願いします、ドンブロウスキ先生。
ドンブロウスキ:大学の外では「先生」でなくていいですよ。君には期待しています。今年から私が教えることはないようだが、ぜひ数学に集中してください。
銀河:はい、ドンブロウスキさん。
銀河はマスクを外して部屋のゴミ箱に捨てる。
ドンブロウスキ:魚沼さんはさっきした説明をきちんと覚えているでしょうから、大家としても安心です。お友達に言っておいてくれませんか、午前二時にゾンビを撃って遊ぶ時はイヤホンをしてほしいと。怖くてトイレに行けないという苦情が出ています。
銀河:わかりました。
ドンブロウスキは退場する。
江森:よお、魚沼!
銀河:お、江森。
銀河は部屋の前の廊下に出ていく。
江森:そうか、今日から入居か。よろしくな。
銀河:こちらこそ。他の人たちは?
江森:二人とも外出してる。そろそろ帰ってくる頃だよ。ところで俺の部屋わかる?
銀河:さっき教えてもらったよ。風呂の隣だろ?
一階の玄関の扉を開ける音がする。
ジヨン:ただいま!
マ・ジヨンと
ジヨン:あら、新しい人ですか?よろしくお願いします。マ・ジヨンと申します。向かいの部屋にいます。
銀河:こちらこそよろしくお願いします。魚沼銀河です。
三内:はじめまして。三内遥と申します。数字の三に内側、
銀河:あれ、もしかしてあの三内さんですか?『暗黒のファラオ/ネフレン=カ』を描いた?
三内:お、読んでくれてありがとう。
銀河:全巻持ってます。すごく面白いです。サイトの絵も全部見てますよ。
江森:俺と魚沼は同じゼミで、三内さんの漫画も魚沼に勧められたんです。
銀河:後でサインください。
三内:もちろん、喜んで。江森くん、この前言ってたホームズの映画観る?
江森:借りてきてくれたんですか?ありがとうございます。(銀河に)じゃあ、何か手伝ってほしいことがあったら呼んでくれよ。
銀河:今のところ大丈夫そうだよ、ありがとう。
三内と江森は退場する。
ジヨン:魚沼さんは、辛いものは好きですか?
銀河:もちろん。唐辛子は何にでも合います。
ジヨン:よかった。今日の晩ご飯は私が作るんです。銀河さんも料理すると、その度に家賃から食材費と時給くらいを引いてもらえますよ。夕食はいつも七時半からです。その時にまた会いましょう。
ジヨンは退場する。一人残された銀河は部屋に戻り、段ボールを開け始める。
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