第10話 狂獣討伐(前編)
獣人族、人魔族、連合の、狂獣討伐隊は、森の中心へ向かって進行。
先頭は、獣人族。次が騎士団、最後が、俺と、ジュリアと四銃士、そして親衛隊。
獣人族の、リーダーは、族長のティーゲル、被害を一番受けているので、張り切っているが、はっきり言って、少し頼りないと思ってた。しかし、彼らの戦法は、機動力を生かした前後左右上空、遠距離とオールレンジの攻撃で自分たちの何倍もある狂獣を倒している。防御に弱いところがあるが、騎士団のカバーで、どんどん敵を屠ってる。俺たちは、まだ出番が回ってこないので、ジュリアと話しながら進む。
「今更なんだが、なんで人魔族っていうんだ?」
「人なのに、魔法が使えるから、人の姿をした魔族だっていうのが表向きの理由。魔法が使える人は、人族の10%以下、教会は、異端といい、魔法が使えない人は、代わりに、カガクを発展させ、魔法など必要ないと主張した。」
「俺の居た世界でも、魔女裁判というのがあって、罪のない人が裁判にかけられ異端ということで処刑された。中には国を救った英雄もいた。」
「私たちの祖先は、そういった事態を避けるため、人族の世界を離れ、魔界、つまりここに住むことを選びました。」
「僕たちの世界では、肌の色が違う、というだけで差別され、奴隷にされた人もいた。彼らは、自分達から見て【普通じゃない】と言う理由だけで、当時世界を牛耳っていた連中に迫害された。馬鹿な話だよな。」
「こちらでは、同じ人はいないというのは、【当たり前】で、仲間を傷つける事は、自分を傷つける事というのは、共通の認識です。違う人もいるけど・・・」
「ここは、いい世界だよ。ここを守るためのがんばろう!と、そろそろ出番みたいだね。」
進むにつれ、巨大化し、凶暴になった角ウサギ、ハンター鹿、ゴールデンベア、などだった相手が、ゴブリン、オーク、オーガ、ミノタウロス、などの人型になり、それぞれが、ジェネラル、キング、などに進化していた。
そして、こちらも連戦の疲れで、動きが悪くなってきたところで、俺が、いったん休もうと提案し、幾重にも張った結界の中で、体力、魔力を回復させることになった。
「みんなはここで回復するまで待機、ここからは、俺一人で行く。」
ジュリアや、四銃士が、反対し、付いてくるといったが、全力で戦えないのでと、遠慮してもらった。実際、今まで俺は、みんなを守るための結界を張るだけで、直接攻撃はしてなかった。
迷彩服、サバイバルブーツ、肩当て、と胸当てを装備して、一人前へ出る。
相手は、キングたちを従えたエンペラーだったが、魔力で作った、『デュランダルソード』で、キングたちを薙ぎ払い、エンペラーの前に立つと、言葉をしゃべれるのに驚いちゃったよ。
「オマエ、ナカナカヤルナ、ダガココマデ・・ブッ」
俺がワンパン食らわせて、体半分が吹っ飛ぶと、余裕も吹っ飛んだようだ。
「ナンダ、キサマハ、ドウナッテイル」なくなった体を回復させながら、ビビってる。
「雑魚セリフはいいから消えな。」『デュランダルソード』で、首を払ってやった。驚いたことにまだ生きていた。
「マジンオウサマニハカテヌ、ツギニコウナルノハオマエダ。」
ウザイので、踏みつぶしてやった。魔人王か・・めんどくさいな。
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