第4話宰相って、おいしい?食べたこと無い

光が消えたら、そこは城だった。笑

洋風のそれは城門から玄関まで500mくらい、真ん中に噴水の様な池があるが、敵を遮るよなものは一切ない。明らかに、見せるための城だ。

おかしいのは、その色で、緑なのだ。まるで保護色の様に、周りに同化する様な色になっている。そんなことを考えながら歩いていると、ジュリオディアが声をかけているのに気がつかなかった。

「…さま」「ヒロト様」後頭部に目から火の出る様な一髪いただきました。ババア、なにすんだよ!

「姫が呼んどるじゃろう、なにを呆けておる。」

「あ、ごめん。城がカメレオンみたいだと、思ってさ」

「カメレオンですか?」

「うん、向こうの世界に居る、周りと同じ色になって、敵から身を守ったり、獲物を捕まえたりするやつなんだけどね。」

「こちらにも、グレゴラスという、同じ様な魔物がいますけど、やはり、体長が2m程の生き物ですか?」

「いや、30cmくらいの、小さな生き物だよ、食べるのも虫とかだし。ペット、こっちで言う従魔みたいなものかな?契約は要らないけど。」

俺は夢中になってカメレオンの説明を続けた。姫、魔王はそれを楽しそうに聞いていた。後頭部に軽い一発をもらうと、大きな扉の前に来ていた。

ジュリオディアが、王の顔になり、緊張感が走る。

扉が開いて、玉座までの赤絨毯を進む。俺とばあちゃん(フローリア笑)は臣下が進む1番前で、止まる。フローリア笑に促されて片膝をつき、右手を左胸につける。

玉座に向かうと思われた、ジュリオディアが、階段手前で振り返り、宣言をした。

「勇者、ヒロト•ナガイ、我が命を救ってくれた恩義に報いるため、我が王位にある限り臣下の礼を取らない権利を与える。」え、なに言ってんの?

「さあ、ヒロト、立ち上がりなさい。そして、友人に接する様に私に接してください。」どうしたら良いのかわからないので、ばあちゃんの袖を引っ張る。

「陛下、それは、彼を肉親扱いすると言うことでしょうか?」ばあちゃん、頑張れ!

「彼が、わたくしにとって、肉親並みに敬意を払う方だということです。」

「なるほど、ヒロトお前はどうじゃ、どう思う?」うえっ、こっちに来たよ。

「陛下、わたくしは、元の世界で王族、貴族であったわけではありません。一般の市民であります。そして、先ほども申し上げましたが、陛下を王だから助けたわけではありません。臣下の礼を取らない許可をいただきましたが、臣下の礼を取る権利もあると思います。公式の場では、臣下としてふるまいますが、それ以外では、友人として接する許可をお願いいたします。」これでどうよ!

「分かりました。では、その優しさと、異世界の知識を生かして、現在空位である、宰相として、公私にわたり、余を助けてくれないか?」

宰相って何?食べたことないよ。って、冗談言ってる場合じゃないか。

「非才ではありますが、陛下のため、最大の努力をすることを誓います。」

こうして、俺は宰相として、第二の人生を送ることとなった。

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