友人の決意! 妹の決断!
「というわけだ。悪いが欠片は……」
「いいわ。鏡華の安全の方が最優先よ」
「鏡華の研究所まで案内してくれ。あいつは自分で全部のケリを付けに行った。最悪、拘束されてるかも」
星雲大帝は、欠片を手に入れた。後は作動させるだけだ。
作動キーは優月が持っている。躍起になって探しているはず。
「乗れよ」
オレはバイクに跨がった。前と同じように、優月にメットを放り投げる。
優月がシートに腰を下ろして、オレにしがみつく。
「虎徹。ありがとう。鏡華を友達って言ってくれて」
「さっきも言ったけど、この件は鏡華を追い詰めたオレに責任がある」
振り向くと、優月が意外そうな顔をしていた。
「言っとくけどな、オレは間違ったとは思っていないからな」
あいつが太一を巻き込んだのは事実だ。
一人で勝手な行動をした事にも、オレは怒ってる。
けど、本当に悪いのは海蛇銀河団なわけで。
奴らさえどうにかしてしまえば、あの二人も堂々と交際できる。
だったら、やることは一つじゃないか。
「けどいいの? あの娘はあたしの友達だけど、あんたの友達ではないわ。どうして協力してくれるの?」
オレ自身驚いている。
鏡華は赤の他人だ。
けれど、鏡華の境遇を聞くと、不憫に思えた。
母星からも裏切り者呼ばわりされ、たとえ助かったとしても、太一との別れが待っている。
まるで、オレの両親みたいじゃないか。
だから、オレはこう言うことにした。
「ダチのカノジョだからな。だったら鏡華も、オレのダチだろ?」
オレが言うと、優月はオレの腹をギュッと抱きしめてくる。
「わかったわ。あんたを信じるから」
カガリは別方向へ。
「ボクは鏡華君を保護してもらう為にMIBを説得しに行く。終わったら合流するよ」
「頼む。じゃあ行こう。ヤバくなる前に」
このタイミングで、スマホが鳴った。
『お兄ちゃん。わたし、亜也子』
亜也子からだ。確か、太一を見張ってろって釘を刺しておいたのだが?
『太一さんがね、一人で出かけちゃった。博覧会場に行くって。そこに鏡華さんがいるはずだからって』
ちょうど、太一が家を出るところで、亜也子は話を聞いたらしい。
「お前、引き留めなかったのか?」
『だって――』
「バカヤロウ!」
オレは電話越しに怒鳴った。
「お前、見張ってろって言ったろ! まだ大帝がどこにいるか分からないんだぞ!」
『バカはお兄ちゃんの方だよ!』
亜也子から怒鳴り返される。
「んだと!? 亜也子! てめえ、いい加減に――」
『お兄ちゃんは、わたしが義理の妹で、死なせたら面倒になるから助けてくれたの!? 違うよね。わたしが大事だから助けてくれたんだよね!? 答えろこのバカ兄!』
声を荒らげようとしたが、亜也子の一言がオレを遮った。
まったくその通りだ。
オレはお前が大事だから、緋刀から守った。
それは否定しない。
『男なら、大切な人がピンチなら駆けつけるもんでしょ? きっと太一さんだってそうだよ。太一さんみたいな人の手助けをする為に、わたし達忍者がいるんじゃない』
そこまで言われると、オレも黙るしかない。
「そっか。だったら守ってきてやるよ」
『それでこそ兄ちゃんだよね』
そう言い残し、亜也子は通話を切った。
まんまと乗せてしまうとは。さすがオレの妹だ。
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