サツバツ! 夕暮れの決闘!

「忍者一族 戒星かいせい所属、埜場のば 虎徹こてつ。相手になるぜ、ユーニス・ブキャナン」

 オレは、手首の腕輪から、二刀流の刀だけを展開する。



「河南優月は仮の名。ネクサス・パイル所属、ユーニス・ブキャナン。そう、戒星の一味だったの。どうりで強い訳だわ。ロンメル!」


『お呼びで』と、浮遊端末がステルス迷彩を解除した。


 浮遊端末が、三日月型のマシンガンへと変形する。

 黄色い円月刀は半円状のフラフープを思わせた。



 立入禁止の札を抜け、マシンガンが放つ針を刀で弾き飛ばす。

 ゼロ距離に詰め、真一文字に斬りかかる。


「いつまでたっても、あんたを殺すタイミングが掴めないんだもの」


 三日月型の武器で、優月は剣を受け止めた。攻撃を打ち上げて斬り返す。三日月の内側に持ち手があって、優月はそれを握り込んでいる。射撃と斬撃、両方できる武器か。

「これはムーンダンサー。近接武器にもなるし、遠距離攻撃もできる優れものよ」


 後ろへ下がったが、大事な服装の腹部分がハラリと横へ切れる。


 優月が距離を詰め、三日月刀を両手で掴み、振り下ろす。


 このくらい軽く避けられるが、あえて二本の刀で受け止める。

 

 武器の重量も乗っているのか、結構重い。


 女子の攻撃だと思って甘く見たか。

 

 あんな扱いづらそうな武器を、軽々と使いこなしてやがる技量も中々だな。


 三日月型の刀身が分解されマシンガンとなった。離れたオレに向けて、優月がマシンガンを打ち込む。


 逆手持ちでマシンガンの攻撃を弾きつつ、刀を突き出す。


 優月が身体を反らして、突き攻撃をスウェーする。


 確かに背中を切り裂いたはず。

 

 しかし、不可視の装甲に、剣が弾かれた。

 

 確かに、こっちの獲物は「斬られても痛みを感じる程度」にダメージを調整してある。が、それを差し引いても切れ味が悪すぎるぜ。


 特殊装甲でも身に付けているのか? 違うな。


「装甲を物質変換して、服に姿を変えているのか?」

「これも欠片から得た技術なんだから」


 そんなことができるのか、欠片は。


 仰け反った状態から、回し蹴りを放つ。無理な体勢ながら、正確なキックだ。


 身体を後ろへ反らし、こちらも牽制で前蹴りを打ち込んだ。

 後ろに飛び退きざまに、優月が光学式マシンガンを乱射。


 黒い双子刀を振り回して、光学式弾丸を打ち砕く。


「この世には触れちゃいけない領域があるんだよ。理解しろよな」


「流星刀を二本も使っておいてよく言うわっ! 立派な【欠片】じゃない!」


 確かに、オレの使う忍者刀は隕石で作られているが。

 距離を取って、オレたちは睨み合う。




「それとこれとは話が別だ。オレ達は欠片の力を慎重に扱ってる」


「自分たちばっかり特別扱い? 笑わせないでよね! 真の力に触れてもいないのに、ないと決めつける、アンタたち忍者の思考回路自体がナンセンスよ!」


「そのせいで、どれだけ文明が滅んだって言うんだ? 火星や水星だって、元々人が住んでいた星だった。欠片の力に関わりすぎて滅びちまったってのに!」


 距離を取って、オレたちは睨み合う。


 だが、そこへ邪魔者が現れた。



「はーあ、おい見ろよ。宇宙人同士がケンカしてるぜ」


 チーマー風の数名が、オレたちに近づいてくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る