乱入! 宇宙チーマー!
騒ぎすぎたか。
とっさに、オレは武器を収めようとした。
だが、どうも様子がおかしい。
「それに、女の方は海賊だぜ」
こいつら、どう見てもカタギじゃない。
チーマーの一人が、透明なスマホを優月に向ける。あれは、地球産の物ではない。
「おい、こいつは、ユーニス・ブキャナンだぜ。捕まえたら四〇〇万ギドラだってよ!」
スマホを弄って、金額を確認する。四〇〇万ギドラって言えば、質素に生活していれば一生働かないで住むくらいの額だ。
そんなとんでもないやつだったとは。優月のヤツ。
「こいつら、宇宙人ね」
「そのようだ。やるか。オレは右のゴリラをやる」
オレと優月で、どっちをあいてにするか算段する。
「ちょっと、指図しないでよ。あたしが右よ。左のチビって弱そうなんですもの」
オレと優月が「獲物の物色」をしていると、チンピラがぶち切れた。
「てめえら、余裕ぶっこいてんじゃねーぞ!」
キレたついでで、三人組が正体を現す。
中央のチーマーがトカゲ顔に。右の巨漢が、ゴリラになる。左のチビは、手足がイカのように伸び、吸盤まで浮かんできた。
「やっちまえ!」と、トカゲ顔の男が、二人に指示を出す。
こんなヤツに遅れを取るオレじゃない。ゴリラを譲り、触手を相手する。
吸盤の付いた手足を、二本の刀を回して切り刻む。
「痛たたた!」
両手足をぶつ切りにされ、イカ男が悶絶する。死にはしないと思うが。
優月の方も片付いたようだ。ゴリラが頭にデカいタンコブを付けて伸びている。
「ゴリラにはゴリラと言ったところか」
「はあ!? 言ってる意味がわかんないんだけど?」
雑談していると、チーマーがその辺を歩いていた通行人の女性を人質に取る。
「動くなよ。こいつがどうなってもいいのか?」
トカゲ男が余裕を見せる。勝った気でいるようだが。
オレは、優月と目配せをした。お互いがうなずき合う。
動揺するトカゲ男に向かって、刀を一本投げつけた。
「てめえ! こいつが見えねえのか?」
刀は、まっすぐに通行人の女性へと飛んでいく。
オレの狙いを察した優月が、マシンガンを一発放つ。
軌道がそれて、通行人の女性の方角からズレた。
トカゲ男の額に、刀の先が突き刺さる。
あまりの出来事に、通行人の女性が気絶した。優月が瞬時に動き、通行人の女性を抱え、トカゲと距離を取る。
「がああ! オレの腕がぁ!」
チーマーが、刀が突き刺さった頭を押さえながら退散しようとした。頭と思われた部分が腕だったようだ。ハンドネック星人といって、手にあたる部分が頭で、頭は手だ。
「逃がすかよ!」
オレはトカゲに飛びつく。両脚で手首を挟み込み、投げ飛ばす。
手の形をした頭をコンクリートに叩き付けられ、トカゲが悶絶する。
「さあ、続きと行こうぜ」
トカゲから刀を抜き取り、血を払う。
「ひいっ!」
自分に大して言われたと思ったのだろう。トカゲ星人はダッシュで仲間の元へ。他のチーマー達は戦意を喪失したのか、我先に逃げ出す。
「そうね。邪魔者は消えたし」
「ああ……?」
ふと、サイドポニーの女が視界に映った。
シルエットだけだったが、どこかで見た覚えがある。しかし、記憶の片隅にあって、思い出せない。かなり昔に見た記憶があるのだが。
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