04.そんな顔しないで
大学の昼休み。僕は学食でご飯を食べる。
ゼミの中で一番気さくに話せる親友、松本と一緒だ。
こいつとはなんか判らないけど気が合うんだよな。いつも取りとめのない話、テレビの話だったり遊んでるゲームのことだったりで盛り上がる。
今日もそんな感じでいつもと変わらなかったんだけど。
「ひとつ聞いてもいいか?」
松本が何か興味深そうな表情で言ってきた。なんだろうと思ってうなずいたらとんでもない質問が飛び出してきた。
「新庄さ、赤城さんのこと好きだろ」
ぶはっ!
オムライス噴きそうになった。
「なっ、なんでっ」
必死に呼吸を整えて問い返した。
「なんか最近、赤城さんのことちらちら見てる気がするんだけど」
「そんなこと、ないと思うけど……」
と言いながら、自分では判らないけど、結構見てるかもしれない。
「じゃあ、別に何でもないのか?」
「そ、そうだなぁ」
なんて答えたらいいのか困るから濁しておいた。
「そっか、じゃあ俺、
こ、コクっ!
口に運んだオムライス、丸のみしちまった!
当然、むせる。これ以上ないくらい息が苦しい。
でもそれ以上に、なんだろう、心が大きな力でぐにゃってゆがめられたみたいな感じ。
「そんな顔すんなよ。やっぱ好きなんじゃないか」
僕、一体今どんな顔してんだ?
「がんばれよー。なんかあったら応援してやっからな」
松本、いい奴だ。
「おまえらがくっついたら、俺の周りで十組目のカップル誕生だ。二桁記念だ」
「独身男に見合い話押しつけるおばちゃんかよっ!」
思わずつっこまずにはいられない。
「だってカップルできてく過程ってそばで見てると面白いからさー」
とんだ動機だ。
面白そうだから諜報員やる赤城さんといい、いくら関西って言ったってどうしてこう「おもろいもん好き」が多いんだ。
「ちなみに、成立したカップルの半分はもう別れてる。別れる過程は怖いから関わりたくないな」
ひえぇ。そっちはあまり聞きたくない!
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