E56:自分の温度を少しずつ上げていく。自作語りウザい。

 昔語りみたいのが続いてて申し訳ない。

 でも、それもこれも、全部私が、自作沼へのズブズブ沈めていく為の方法として大目に見てください。

 更に作品語りになるよー。ごめんなさいね。


 前回、「世界はそんな単純じゃない」という事を書きたかったんだと言いました。

 それは「恋愛ベースにした話を書きたくない」に通じているんですが。


 いや、そもそも自分がベッタベタの恋愛モノが書くのが苦手っていう事もあるんですけどね。


 じゃあ、私が書く作品に、全然恋愛が絡まないかというと、全然そういう事ではないんです。

 めっちゃ絡んでるヤツあるよ。ってか、その方が多いんじゃね??


 ただ、「好き!」「私も♡」=大団円、って言うのが好きじゃないだけ。

 それで解決するなら戦争起こらねェわ。


 前回引っ張るような書き方したけどさ。

 ええとね、例えば。

 30コンの話なんですが。


 作中に出てくる変態男・紫苑シオンさんについて。

 彼は主人公・アカネさんの事がだーい好き。好きで好きでたまらない。ちょっと人道的に外れちゃうぐらい大好き。

 でも、彼はその気持ち以上に優先させたい事があったので、ああいう事になりました。


 また、私の最初の作品「数多の誰かの物語」の「黒曜の誓い」章の、王様もそうでした。

 人間、社会生活を営んでいく為には、恋愛感情の優先度を下げなければならない時もあります。


 相手が好き。

 でも、それ以上に譲れないものがある。

 気持ちを殺してでも、そっちを優先させたい。優先させなければならない。

 恋愛を描く時は、その葛藤の方が書きたいタイプですね、私は。

「好きだけど憎い」とか。

「好きだから殺したい」とか。

 そういう方が好きですね。

 病んでんのかな、私。


 それに。

「愛情」には、恋愛とは違うものが沢山あるじゃないですか。

 書くなら、そっちの方を描きたい。


 キヨちゃんと八雲ヤクモくんの関係もそう。

 凄く簡単に「愛情があるから」という一言で済ませられない関係が書きたいんですよね。


 分かりやすいものの方が好まれるというのは分かってるんだけどさ。

 単純化されたものってもうありふれているし、単純化されてても超絶面白い作品っていっぱいあるから。


 いや、私が書くものだって、突き詰めて単純化すれば「愛があるから」に帰結するとは思うけど。

 そうなんだけど、そうじゃないものが書きたいっていうかぁ。

 あー、もう。

 物書きの超絶末端だとしても、なんで文字として表現しきれないのかなァー。


 言い訳はいいや。これぐらいにしとこう。


 兎に角。

 キヨちゃんと八雲ヤクモくんの、一言では表現しきれない関係性が書きたいね。


 一作では書き切れなくていい。その末端しか表現できなくてもいい。

 でも、それを書いてみたくないかい?

 ホラホラ、書きたくないか??


 例えばね。

 キヨちゃんは、全面的に八雲ヤクモくんが好きなワケではありません。

 むしろ、キヨちゃんが反吐を吐きかけたくなるような事もあるでしょう。

 キヨちゃんですからね。本当に吐きかけそうで怖いわ。


 八雲ヤクモくんは、結構型にハマった考え方をしようとしています。

「日本男児たるもの」とか、キヨちゃんに「男なのに」とかそういう事を言います。

 しかし、キヨちゃんはその言葉が何より大嫌い。

 だから、そういう事を八雲ヤクモくんが言うと、烈火の如く言い返します。


 これは、八雲ヤクモくんがそういう風に周りから期待されつつ、育てられてきたから。だから、八雲ヤクモくんは素直に周りの意見に流されて、そういう言動をします。

 でも、そういう風に流される事は、キヨちゃんは大っ嫌い。

 キヨちゃん自身も、周りからそう言われてきて苦労してきたんでしょう。

 資質がない事も、彼の考え方に多大な影響を与えてると思います。


 まだ国家機関だった頃の組織は、「能力至上主義」な考え方が充満しています。

 その中で、資質を持たないキヨちゃんは見下され、蔑まれてきていたハズです。


 むしろ、異能力持ちに家族を殺されたキヨちゃんは、能力者を憎んですらいます。

 それでも、彼が組織に所属しているのは『毒をもって毒を制す』という考え方を持ってるからでしょう。


 彼の外見がひ弱で見下され易い事も関係しているね。

 現実、フィジカルもさほど強くないでしょう。


 自分の力が弱い事を、一番苦々しく思っているのは、おそらくキヨちゃん自身。


 でも、だからといって、彼は自分を卑下しません。

 本編でも書きましたが、彼は『自分は自分以外にはなれない』という事を分かっているから。

 背伸びしても無理しても、自分にない力を発揮できない事を、彼は知っています。

 だから、彼は自分の外見という能力を最大限発揮できる『女装』をしているんです。

 ……まあ、個人的な趣味もあるでしょうけど。彼は可愛い恰好をするのが好きだし。


 この部分が、私が日頃から考えている事でもあるんですよねー。

『自分は自分以外にはなれない』


 努力する事は凄い事だし、努力できる事自体も才能でもあります。(羨ましい)

 でも、人には『向き不向き』があって、努力の方向を間違えると、その人が本来持つ才能を消してしまう事もあるんじゃないかなーって。


 自分に対しても言えるけど、他人に対する態度にも言えます。


 相手の『短所をなくそうとする』という動きを、よく見ます。感じます。体感します。

 勿論、その方向での努力も必要。


 でも。人の向き不向きを考えた時に。

『長所を伸ばして、その長所が生かせる方面に進んだ方が良いのではないか』

 と思う事が多々あるんですよね。


 短所に向き合う時間も勿論必要だけれども、でも全力を『短所を埋める』方向に費やすぐらいなら、そのいくばかの能力を『長所を伸ばす』方面に向けた方が、物事が円滑に進む事ってあるんじゃないかなーって。


 なんか、話が真面目な方面に向いてるなー。

 さっきも言ったけど、別に私は説教臭い話を書きたいワケじゃない。

 どっちかってーと、エンタメ極振り作品の方が書きたい。


 でも『明示させていないけれど、その事が根底にある』作品が書きたい。

 書きたいよね?

 それが「アンチテーゼ」じゃない?


 チート作品へのアンチテーゼじゃこの野郎。

 万能じゃなくても、その人が元来持ってる能力を最大限に引き出して、誰かと協力して穴を埋め合えば、その時のベターな結果が導けるのではないか。

 ベストじゃなくていいんじゃ!

 ベターであれば丸儲け。

 一番じゃなくていいんだよ!


 あれ? なんか話が逸れたな。


 キヨちゃんは、そういう私の思想を体現する存在。

 で、そんな彼と八雲ヤクモくんの関係を書きたいんじゃなかったっけ?

 ええと?


 そうそう。

 キヨちゃんは、八雲ヤクモくんの、型にハマったような言葉が嫌い。

 だけど。

 八雲ヤクモくんは、キヨちゃんと見下しません。可愛い事も認めてくれているし。

 だから、そういう点はキヨちゃんは八雲ヤクモくんは好きです。


 キヨちゃんが大嫌いな『異能力持ち』である八雲ヤクモくん。

 少し、複雑な視線で八雲ヤクモくんを見ているかもしれませんねー。


 じゃあ、八雲ヤクモくんから見た時のキヨちゃんってどうなんでしょうね?


 八雲ヤクモくんは、おそらく帝都(東京)育ちで、都会っ子ですね。

 意図したもののみを切り裂ける、大典太おおてんたの継承者であり、まわりからうらやまれる立場に居ます。

 でも、彼はきっとそれを鼻にかけてないでしょうね。

 かけてたら、キヨちゃんに間違いなく嫌われて──『嫌われる』なんて甘っちょろいレベルではなく、忌避される、嫌悪される、ゴミあくたの如く扱われる──おおよそ、相棒なんて出来ないでしょうからね。


 むしろ、ちょっとそんな凄い能力を継承してしまったのに、使いこなせない自分をダメダメだと思っているかもしれません。

 努力はしているでしょう。でも、多分、元来の彼が持つ性格ゆえ、その力を自在に操れない。

 でも彼は、継承してくれた師匠に、後押ししてくれた方々の期待に添いたい為、努力を惜しみません。多分。


 そして。

『自分を分かってる』キヨちゃんを、凄いな、羨ましいな、って思っているでしょう。

『適材適所』を体現するキヨちゃんの事を尊敬してるかも。

 それも、普通に、素直に。

 そこにやっかみの気持ちはない。純粋に尊敬してる。

 だから、自分も自分ができる事をしようって、思ってるでしょうね。


 八雲ヤクモくんは、キヨちゃんに複雑な感情を抱いているかなー。

 ああ、妄信してるとか、全面的に大好きってワケでもないだろうなぁ。


 ワガママだし、イジワルだし、気に入らない事があると銃ぶっ放す危険人物だし。

 自分がボッコボコにされるのを眺めて喜んでたりするし。

 自分が苦労する事の原因の一部が、キヨちゃんのせいでもあるっていうのは分かってるし。


 でも、信頼している部分もある。

 彼が、異能力者を憎んでる事も知ってる。

 キヨちゃんの弱い部分を、八雲ヤクモは無意識に感じ取ってるのかもしれないなぁ。


 うーん。

 なんていうんだろう。

『凸凹コンビ』なんだけど『噛み合ってるコンビ』って、肌で感じてるっていうのかな。

 キヨちゃんが下手をこかないって、理屈抜きで思ってそうだし。


 キヨちゃんが世間を全て俯瞰ふかんで眺めてて、全てについて言語化して理解しているのと反対に、

 八雲ヤクモくんは、言葉にはできないけれど、物事の本質を感じ取っているっていう、

 そういうコンビ。


 で、その関係を、明示的に言語化はできないけれど、空気として感じ取って欲しい


 そういうモノが書きたいなぁ。

 あ!

 また凄い文字数!!!


 日付も変わっちゃったし、今日はこれぐらいにしようかな!


 キヨちゃんと八雲ヤクモくんの関係性を深堀していく事によって、またちょっと『ハマり』の状態になってきた気がするよ。


 でも、まだまだだなぁ。

「それを表現したくて仕方ない」状態にはなっていない。


 焦るな自分。

 少しずつでいいんだ。

 毎日塗りつぶしていけばいい。

 自分の頭の中を。


 よしよし。

 いけそうな気がしてきたぞ。


 明日はどんな外堀を埋めようかなぁ。

 もっとこの二人について『表現したい』事を深堀しようかな……


 寝ながら考えようかな。

 ふふ。

 楽しみだ。


 今日はここまで。

 できれば明日も更新したいな。

 頑張ろう。


 それでは!




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