とある市立中学校に転任してた40歳の中年教師・葉山典之。見た目はどこにでもいる普通のおっさんだが、人は彼を「ハテンコー先生」と呼ぶ。「子供たちをハッピーに」を目標に掲げ、常識に凝り固まった教師たちの目を覚まし、問題だらけの教育現場を改善していく光景に感銘を受けました。
ハテンコー先生は普通の教師とはひと味もふた味も違う。問題児を指導室に呼んでも話を聞くだけ、保護者には謝ってばかり、とくに生徒に厳しいわけでも熱血教師というわけでもないのに不思議と生徒に信頼され、いつの間にか問題が解決するのだ。そこには心理学や行動学にも通じる、まったく新しい独自メソッドに基づく教育法があり、従来の教育にはない視点や考え方が画期的で面白い。
ハテンコー先生に影響されて周囲の教師たちにも徐々に変化が訪れ、教師と生徒の信頼関係で自然と生まれていく笑顔に心が洗われます。
いつの時代も教師は自由を求める若者たちの嫌われ者。しかし教師も完璧な存在じゃない。教師も悩んで誰かに助けを求めている一人の人間なんだということに気づかせてくれます。学校が嫌い、先生が苦手という方にこそ、読んで欲しい一作です。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)